2014年08月11日

自分を見つめる

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 私は小学校のスクールカウンセラーをしています。休み時間や相談の約束が入っているときは相談室にいるのですが、授業中は、教室に行って授業を受けている子どもたちの様子を見に行くという時間が結構多いのです。

 低学年(1、2年生)の多くは無邪気に迎え入れてくれます。しかし4年生くらいから、子どもたちの多くは、スクールカウンセラーが教室に入るや否や警戒の視線を向けてくるようになります。赴任したばかりの学校でも、すでに十分周知されている場合でも、それはあまり変わらないように思います。その視線は「私の何を見にきたの?」と詰問しているかのようです。

 4年生、10歳頃というのは、他者からの視線や評価に敏感になり始める年頃でもあります。それは、ちょうど自分というものへの意識(自己意識)が変化する時期でもあるからです。
自己意識は、自分が自分として主体的に生きていくためにとても大切なものです。10歳頃になると、自分について様々な側面から考えられるようになります。身体的な特徴や所有物といった『外面的』な特徴だけでなく、性格や対人関係の持ち方、過去と現在の比較など『内面的』な特性からも自分について語るようになっていきます。

 自分というものについて様々な側面から眺めるというのは、「自分を対象化すること」でもあります。自分を対象化して見ることを始めるこの時期は特に、否定的な側面が強調されて見えるようです。ちょうど中学生が、長い時間鏡とにらめっこして髪型を気にしているように。彼らには、髪の毛のほんのちょっとのハネも、居ても立っても居られない大きな問題のように感じられるのです。

 カウンセリングというのは、悩みや心の問題を通して、自分の心を対象化して眺める作業とも言えますが、自分の背中を自分で見ることが難しいように、自分の心を客観的に見るというのはなかなか難しいことです。それは、どうしても主観的なレンズを通して見ることになるからだろうと思います。髪の小さなハネが大問題のように感じられて仕方がないように、自分の心や、対人関係のあり方のある側面が強調されて見えてしまうことは自然に起こってきます。カウンセラーの役割というのは、主観的なレンズの色を中和するというか、主観的なレンズを通しては見えない視点を加えるというか、そんな風に言えるかもしれないと思うのです。

カウンセラーから見えてきたものと、自分の心を対象化して眺めてみたものとを、立体化させて、そこで新たに何が見えてくるのかを探す作業の連続、それがカウンセリングとでも言えるかもしれません。そこで見出されるものは、100%客観的な自分というよりは、どこか馴染みはあるけれど新たに発見された自分、とでも言うようなものかもしれません。
posted by MSCOスタッフ at 18:16| オフィス外での活動

2014年06月17日

『遊び』の持つ意味

バーベキュー

 梅雨が続きますが、晴れた日には爽やかな風が吹き、外で過ごす時間が気持ちの良い季節になりました。
 本格的なアウトドアシーズンを前に、BBQセットを買おうとお店に行った時のことです。そこには2つのグリルが展示されていました。1つはしっかりとした作りで少々揺らしてもビクともしないもの、もう1つはやや華奢で、手で揺らしてみるとグラグラします。1つ目の物の方がしっかりしているからこっちが良いな、と思いながら、念のため店員さんにお勧めを聞いてみました。
 すると私の思いに反し、店員さんからはグラグラする方がお勧めとの返答。店員さん曰く、アスファルトのように平坦な地面に置くのであればしっかりした作りでも良いけれど、土や川原など様々な条件の地面に置くことを考えるのであれば「遊び」があった方が対応しやすいとのことでした。それを聞きいてなるほどと思い、グラグラする方を選ぶことにしました。

 「『遊び』があった方が、様々な条件に対応しやすい」
。買い物の帰り道にそのことを思い出していると、なんだか人生にも通じる話のように思えてきました。この場合の「遊び」というのは「余裕」や「ゆとり」と言い換えられるものです。
 「しっかり」していることは決して悪いことではありませんが、それは「硬さ」にもつながります。平坦な道が続けば良いですが、人生、時には石ころだらけになったり、ぬかるんで滑りやすい道を歩いて行かなければならない時もあります。柔軟性がなく、余裕がない状態で今を生きていると予想外のことが起きた時にうまく対応できません。遊びの要素や心の余裕を生活に上手にちりばめることで、少々の変化や試練にも柔軟に対応でき、折り合ったりかわしたりということができるのでしょう。

 同じ「遊び」でも、子どもの「遊び」は豊かな人生を進む上での基盤となります。遊びの中で子どもは、自分から進んで何かと向き合う主体性、様々な出来事に対して試行錯誤する力、自ら考えたことに辿りつこうとする力を育んでいると言われます。それらは先ほどの平たんではない道を進む力にもつながってくるように思います。
 誰に言われなくても葉っぱを熱心に集め、何としても両手に持とうと葉がこぼれ落ちては拾うことを繰り返すうちに洋服の裾をもって器にすることを思いつき、最後は地面に広げてお店屋さんごっこを始める…。そんな風に没頭して遊びこむ子どもの姿からは、大げさかもしれませんが、小さな身体から生まれる大きなエネルギーを感じます。

 これら余裕やゆとりとしての「遊び」、豊かな人生につながる「遊び」を日々の中で忘れずにいたいものです。
タグ:遊び
posted by MSCOスタッフ at 13:57| 心理エッセイ

2014年05月06日

援助職のためのハーブ&アロマテラピー講座 第2回

Aroma & Herb

〜女性の特有の困りごとへのセルフケア〜
○アロマテラピー
 女性にとって、生理前、また更年期など、気分や体調が不安定になるときに、女性のホルモンバランス、気分のバランスを整えるような精油を使って、香りのローション(化粧水)を作りました。

 女性のホルモンバランスを整えるクラリセージ、ゼラニウムの精油、気分のイライラ、落ち込みなどを改善し、幸福感、女性らしい気持ちをアップさせるフランキンセンスの精油などを使い、ベースにローズウォーター、オレンジフラワーウォーターを用いて各自、好きな香り、今の自分に必要な効能のある精油を使ってローションを作成しました。

 大人気だったのは、ローズウォーターをベースに、ゼラニウム、フランキンセンスの組み合わでした。フローラル系の香りで、幸せな気分になるような香りで、しかもお肌にとっても潤いを与え、しわ防止にも力を発揮してくれるブレンドです。参加者は、出来上がったローションをご自分でつけてみて、「いい香りだわ〜」とうっとりしたり、参加者同士で、お互いのローションを香ってみて、「全然香りのタイプが違いますね」など香りを堪能していました。
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○ハーブティー講座
 ハーブは、自律神経に働きかけたり、内分泌系に働きかけるなど、メディカルハーブの知識を教えていただきました。女性の月経痛、更年期の症状に働きかける5種のハーブの葉を見て香りを確かめたり、ハーブティーを試飲し、感想を参加者でシェアしました。

 月経痛を和らげるラズベリーリーフは、日本茶のようで飲みやすく、参加者に人気でした。更年期の症状などに効果的なセージ、アンジェリカ、ローズは、苦み、しぶみなどありましたが、他のハーブとブレンドして飲みやすくする工夫も教えてもらえました。

 また、「チンキ」と言って、ウォッカにハーブをつけこんで、それを数滴水などに薄めてのむ、という方法もあって、実際チェストベリーというハーブのチンキを水に薄めたものをいただきました。最後は、飲みやすいブレンドのお茶の紹介や、好きなハーブティーのお持ち帰りもでき、楽しんで選びました。

 新年度が始まり、様々な変化で疲れもたまりやすい時期は、ホルモンバランスや、自律神経のバランスも崩しやすくなるので、今回学んだことを参考に、体調を整えていきたいです。

※次回開催は「南新宿カウンセリングオフィスHP」でご案内いたします。

posted by MSCOスタッフ at 17:21| オフィスの活動

2014年04月25日

破局視(Catastrophizing)

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 うつや不安等のつらい心理症状を引き起こすもとになっている考え方を、認知行動療法では「認知の歪み」と捉えます。簡単に言えば「良くない思い込み」ということです。その「良くない思い込み」には、その人特有のものもありますが、誰でも抱きやすい典型的なものもいくつかあります。
 そのひとつに「破局視(catastrophizing)」があります「破局視」は、「運命の先読み(fortune telling)」とも言われ、他の可能性を考慮せずに未来を否定的に予言することをいいます。

 たとえば、みなさんは、こんなことを思ったことがありませんか。「元日の朝にこんなに嫌なことがあったのだから、今年は最悪な1年になるに違いない」あるいは「私にはあんな難しい事はできない.私には能力が無いんだ」など。

 現実的に考えれば、元日も他の日と同じ人生の中の1日に過ぎませんし、その日の朝に嫌なことがあったからといってその年が最悪になるという根拠は何もありません。また、何が「簡単なこと」で何が「難しいこと」なのかは個人差があり、自分が「簡単なこと」だと思っていても、他人にとっては「難しいこと」だったりします。

 何故私たちは、何の根拠もないのにそのように思い込んでしまうのでしょうか。それは、そうやって決めつけて思考を中断することによって、不安感や自己否定感などのもやもやとした嫌な感情と向き合わなくても済む「気がする」からです。また、否定的な結果を予測しておけば、うまくいかなかったときに気持ちが落ち込まずに済む「気がする」のです。

 しかし、実際には、行動を起こす以前に未来を決めつけているわけですから、自身の可能性を限定することになり、結果的にはさらに自己否定感や不安感を高め、逃げ場のない追い詰められた気持ちになってしまうでしょう。
 誰にとっても未来は不安なものです。それは、自分でコントロールすることができないからです。私たちは、破局的な未来予測であっても、決めつけることで未来を自身でコントロールできているという感覚を手に入れ、不安感から身を守ろうとするのです。

 「認知の歪み」とは、このように、もともとは自分自身を守るために行っているにもかかわらず逆効果を招いている考え方と言い換えることができるでしょう。「破局視」を手放して現実的な可能性を考えるということは、不安感に身をさらし、自身の限界を受け入れることです。それは、つらいことのように思えますが、実は自然に身を委ねることで自身を解放し、より現実的で確実な自信を手に入れることにつながります。
 認知行動療法とは、このように利用価値のない「非合理的な認知」を自覚し、自分を守るために有効な「合理的な認知」に置き換えていく作業なのです。
posted by MSCOスタッフ at 18:05| カウンセリング・キーワード

2014年03月24日

「雪かき」体験

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 2月は記録的な大雪で、関東ではかなり混乱がありました。私は辺鄙な地域に住んでいるので、普段は車で職場に向かうしか交通手段がないのですが、道も車も完全に埋もれてしまい、さらには近所の電線が切れて「ビビビビ・・・」とぶら下がっている等、ちょっと愕然とする風景でした。自然災害といっていいレベルだったと思いますが、東北の震災を思い出した方も多かったようで、カウンセリングの中でも「自分にとってどういう体験だったか」振り返る機会が多くありました。

 そこで興味深かったのは、学校・職場が急に休みになったりする非日常の中で行った「雪かき」が、とても印象的に体験されていたことでした。大きく分けると、1つには、「雪かき」という仕事がご近所さん、地域の方々と『共有』するものとして意識され、孤独感が和らぎ安心感を感じられたという方が何人かいらっしゃったこと。もう1つには、「雪かき」を通じて、生きている『実感』や『手応え』を体験された方が何人かいらっしゃったことです。

 前者のように周囲との連帯感を感じられ安心できた、という方は結構多いのではないでしょうか。私が勤務しているクリニックのデイケアでは、「いつもは近所の人の目が怖いけのだれど、「雪かき」をきっかけに声を掛け合える体験ができたことで、また自分が貢献できる感覚を直に味わうことで怖さがかなり薄くなった」と、とても生き生きと話しをされる方が複数いらっしゃいました。私自身も、駐車場から車を発掘しても幹線道路までの道のりは遠いので「明日の出勤も絶望的かなあ」と感じていた朝から、“地域の雪かきチーム”が自然発生し、声かけ合いながら見通しと希望も湧いてきて一日で開通するという“偉業”を共有できる機会を得られたので、よりしっくり感じられたのでした。非日常の感じ、“戦友”のようなある種の危機感を共有している感覚が関係性を強化して、「独りではない」という安心感を生んでいたようにも思われます。こうしたことはやはり、体験を通じてでないと湧いてこない感覚でしょう。

 生きる『実感』や『手応え』を感じたという後者の例では、文字通り手に雪の重みを感じながら、やっただけ成果が見える感じ、道が開けていく感じが体感としてわかる、というのが大きな要素であったようです。カウンセリングの中で『実感』『手応え』をテーマとして共有、意識されている方も多いのですが、「雪かき中に初めて『手応え』ってこういうことかな、とわかった」とおっしゃっていた方がおられたのが印象的でした。目に見えない『こころの仕事』として取り組んでいく中で、目に見えてわかる、身体感覚でわかる=『実感』『手応え』ということがどこか現実生活の中で補填されていかないと、やはり『こころの仕事』としても完成しないのだろうと思われます。

 カウンセリングは、はじめに『何の為に我々はカウンセリングとして会うのか?』を一緒に吟味させていただくことから始まります。まずは大雪の様に「何か大変なことを共有すること」で、絶望的とも思える感覚がまた違った視点で多面的に見えてきますし、「こころの仕事」に取りかかる見通しや意欲もわいてくるものだからです。
 
 また、なんとなく日常を過ごしてしまうと、自分にとっての大切な体験というものが目の前にあってもなかなか意識できなかったり、あっても薄れてしまったりすることはとても多いものだと思います。自分にとってのテーマを整理したり明らかにして、消化/昇華していきやすくするお手伝いをするものがカウンセリングというものなのだと改めて感じ入った大雪体験でした。
posted by MSCOスタッフ at 00:39| 心理エッセイ

2014年02月15日

ほめるって難しい

ほめる

 私は小学校のスクールカウンセラーもしています。子どもたちだけでなく、保護者の方の相談もお受けしています。
 保護者の方からは、「子どものこと、もっとほめないといけないんでしょうね・・・」と聞くことがよくあります。「ほめる」ということについて、ご自分でも日々気をつけていらっしゃったり、本などで読んだり、アドバイスされたことがあったりするのでしょう。しかし「ほめないといけないんですよね」とおっしゃるその言葉の裏には、「がんばってほめようとしてるけどうまくいかない」という切ない思いが感じられます。

 “言うは易し、行うは難し”それが『ほめる』です。『効果的なほめ方』をテーマに、保護者向けの研修会を開催することもあります。
「うちの子、ほめるようなことは何もしないんです」。そうおっしゃる方は少なくありません。そこで、「今できていて、これからも続けてほしいこと」「さらに増やしてほしい行動」といった『好ましい行動』がほめる対象になることをお伝えします。
 「ありがとうが言える」「連絡帳を見せる」「一度声かけしたら宿題にとりかかる」・・・ほんの些細なこと、当たり前のことでいいのです。

 当たり前のことでもほめる・・・そう聞くと、たいていの方が「そんなことでほめていいの?」と少し戸惑ったような表情になります。当たり前のことに「すごいね」と言うのにためらいがあるようです。
ここでもう一つ発想の転換をしてもらいます。『ほめる』というのを『保護者の方が子どもの好ましい行動に注目し、「いいな」思った気持ちを子どもに伝えること』ととらえてもらうのです。
 「すごいね」「えらいね」と言うのはもちろん、他にも「がんばれ」と励ます、「やってくれてありがとう」と感謝する、「今どんなことやってるのかな」と興味や関心を示す、といったことも含まれます。また「ごみを拾ってくれたんだ」と行動に気づいていることを伝えるだけでも十分です。「ニコっとする」「OKサインを出す」言葉以外の働きかけも効果抜群です。


 「何をほめるか」「どうやってほめるか」については、『ペアレント・トレーニング』の中の『好ましい行動』と『肯定的な注目』をベースにしてお話しています。
『ペアレント・トレーニング』は、アメリカで開始され、日本でも適用しやすいように作成されたプログラムです。10回のセッションをグループで実施するのが基本的なプログラムです。
 『ペアレント・トレーニング』では、子どもの『行動』に注目します。子どもは、自分が実際に行動したことについて注目されるので、ほめられていることについて実感が持てますし、そのことが『自信』につながります。

 理論的には『行動療法理論』に基づいていますが、子どもの行動修正に焦点づけしているというよりは、親子がよりよいコミュニケーションを持てるようになることに主眼を置いています。
 子どもはほめられてうれしくなり、ほめられたことを繰り返す→親はそれをほめる→ほめることが保護者もうれしくなり、子どもの好ましい行動にもっともっと注目するようになる・・・このように、よい循環が生まれていきます。

 『ほめる』ことから、親子がそれぞれ自信を取り戻し、穏やかで楽しい生活をおくれるようになるとよいですね。
posted by MSCOスタッフ at 23:11| オフィス外での活動

2014年02月11日

「想像力」がもたらす「力」

砂団子

 砂場で遊ぶ3歳の子どもたちの話です。砂のお団子を作って並べています。ある子どもが、そばにいた保育者に「お団子をどうぞ」と差し出します。受け取った保育者は食べるまねをしてから「ごちそうさま。ああ美味しい。クリームの味がしますね」と応えました。別のクラスでは別の保育者が、食べるまねの後「ごちそうさま。ああ美味しい」と応えました。

 2人の保育者の応対は同じように見えるけれど、この後の子どもたちの行動はまるで違ったものになりました。「クリームの味」と言われた子どものクラスでは「こんどはいちご味」「きな粉がついてるの」水に砂を混ぜて「コーヒーをどうぞ」とレストランごっこに発展していきました。しかし別のクラスは、相変わらず「お団子どうぞ」を繰り返し、たくさん作ったり並べる遊びを続けています。

 この話は、内田伸子という方の想像力を育てることを考える本にあった内容です。この例から言えることは、大人が、子どもに代わって“見えないものを見て、言葉に表す”ことをしたかどうかで、2つのクラスの子どもたちの想像活動の中身が変わり、そこから行動と体験そのものが、驚くほど質的に変わってしまったということです。


 想像力を育てること、引き出すこと。これは子どもの話だけではありません。
 ユング心理学では、想像力が生み出すイメージには、悩みや行き詰まりの原因となった葛藤や矛盾を、まとめ上げ進展させる性質があると言われています。イメージの力によって、出口が見つからない行き詰まりは角度を変え、出口を見出すことができたり、抱えきれなくなった問題はまとまりを持つことで向き合うことができるようになります。そして、次のステップへの可能性が動き出してくるといえます。

 「想像力」を自由に働かせることで、自分の心の世界に埋れている生きたイメージをとらえる、向き合う、体験する。それによって、一面的でなく多面的・柔軟な認知や思考をしていくことが可能になります。そして、自分でも知らなかった豊かな世界や可能性が自分の中にあることを発見する。

 カウンセリングをしていて、クライアントが「想像力」を働かせることを通して自分の力を引き出していくのを目にするたびに「想像力」がもたらすものに惹きつけられます。子どもたちの例のように「見えないものを見て言葉に表す─想像力」を活かして、それまでの自分の「繰り返し」を脱し、視界を広げて、のびやかに踏み出して行く。それ自体、とても創造的なことに思えます。
posted by MSCOスタッフ at 00:00| 心理エッセイ

2013年12月28日

いいとこ探し

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 地域の子育て支援の一環として、幼児期の子どもを持つ保護者(主に母親)を対象とした親講座に関わっています。身近に育児のことを相談できる人がいない、日中は子どもと二人きりで過ごすなど、核家族化が進む中、今のお母さん達は孤立しやすい状況があります。そんなお母さん達に、育児の情報やノウハウを交換したり仲間を作る機会、「〜ちゃんのママ」でなく自分自身のことを考えてもらう時間を作り、自分らしい子育てをして欲しいという目的で、この講座は開催されています。
 数回で構成されるこの講座では子育ての情報や子どもについての悩み、ストレス解消法などについて、色々なワークを行ったり、グループで話し合ったりします。

 今回ご紹介したいのは、その中で毎回好評なワークの一つです。「自分自身について振り返る」というテーマの時に行うもので、私たちは「いいとこ探し」と名付けて実施しています。方法ですが、まず自分自身について短所だと思うことを紙に3つ書きます。次にその紙を隣の人と交換し、隣の人はそこに書かれている短所を長所の表現に変えて記入します。例えば、「心配性」は「細かな所によく気づく」、「飽きっぽい」は「好奇心旺盛。新しいことにチャレンジできる」、「気が弱い」は「周りの人を大切にする」というように書き換えることができます。書き終えたら、隣の人に返します。
 長所として書き換えられて戻って来た紙を見ると、みなさん照れたような笑顔になります。「自分では短所だと思っていたけれど、他の人からは違うように見えるのだと思った」「自分は自分でいいのだと思えた」「嬉しい」などの感想が返ってきます。「帰ったら、夫についてもしてみます」と話された参加者もいました。このワークを行うと、お互いを大事に思い合う雰囲気もグループに出てきて、一層お母さん同士のつながりが強くなるような気がします。

 実は、この「いいとこ探し」でしていることは、心理学の用語で言う「リフレーミング」というものです。リフレーミングとは、ある「枠組み(フレーム)」で捉えられている物事を枠組みをはずして、違う枠組みで見ることです。これは人の性格についてだけでなく、色々な場面でも応用できます。
 例えば、膨大な仕事の半分が終わったという時に、「半分しか終わっていない」と思うのと、「もう半分終わった」と思うのとでは、達成感やその後のモチベーションが変わってくるのではないでしょうか。
 また、自分に降りかかった試練を「自分を成長させてくれるチャンス」と捉えることができたら、前向きに対処しようという気持ちになれるでしょう。どんな状況でも活き活きと過ごせる人は、この考え方を上手に取り入れていると聞きます。物事を悪い方向から見やすくなっている時に、全く違った視点で問題を観察してみると、新たな見方や発見ができるかもしれません。
posted by MSCOスタッフ at 14:49| オフィス外での活動

2013年12月10日

援助職のためのハーブティー&アロマテラピー講座 第1回

Aroma & Herb

 アロマテラピー、ハーブティの講師を招いて、「援助職のためのセルフケア ハーブティー&アロマテラピー講座」を行いました。オフィスのスタッフも参加し、普段とは違うアプローチのメンタルケアの体験をしました。

○アロマテラピー講座
 まずは、数種類のオイルの香りを試しながら、そのオイルが、心に対して、肌に対してもつ特徴を知りました。そして、好きなオイルをブレンドして、マッサージオイルを作成。今回、人気のオイルは、「フランキンセンス」。気持ちをなごませる香りで、肌を活性化させる特徴のものでした。

 そして各自がブレンドしたオイルでハンドマッサージを行いました。すべりがよいので、肌にすーっとなじみ、またやわらかな香りにつつまれながらのマッサージに、最初はなんとなく緊張感のあった空気もなごやかになりました。自分が作ったオイルは、お持ち帰りができるので、家でも毎日使っています。
アロマオイルとハーブティ

○ハーブティー講座
 5種類のハーブティーの作用を知り、試飲しました。ハーブティーの香りと味をそれぞれ自分なりに言葉にしていくことで、じっくりお茶を味わえたように思います。「小豆っぽいね〜」とか、「すーっとするね」など皆思い思いの言葉で表現していました。
 関心が集まったのは、リラクゼーションや眠りに良い「カモミール」。皆、試飲しながら、「眠くなってきた〜」と、かなりゆるんだ雰囲気になりました。
最後に「ペパーミント」を飲み、ちゃんと帰れるようにすっきりと目をさましました。
お土産に、ブレンドのハーブティーなどをいただき、自宅でも楽しみました。

 アロマオイルもハーブティーも、体の不調や困っている症状などに用いると、それがやわらぐという特徴があるので、それぞれが自分に合うものを探そうというところに関心が集まっていたように思います。
 日頃、仕事で疲れていても、なかなかリラックスできるような時間を持ちづらいというのが現実です。せっかく、アロマやハーブを使いセルフケアができる知識を得たので、積極的に取り入れてみようと思いました。

※今後もこの講座は開催する予定です。次回開催が決まりましたら「南新宿カウンセリングオフィスHP」でご案内いたします。
posted by MSCOスタッフ at 23:04| オフィスの活動

2013年10月11日

「親になること」について

見つめること

 先日、『そして父になる』という映画を観てきました。この監督の映画は、どれも登場人物の情緒表現が自然で繊細なのが気に入っていて、欠かさず観ています。何気ない仕草や行動に胸を打たれることが多く、これは作り手の観察力がなせる技だな、といつも感心します。きっと、人間をきちんと見つめている作り手なのでしょう。
この映画のテーマである「親になること」を考えたときにも、「見つめること」の大切さを思いました。

 映画の中では、出生時に子どもを取り違えられた2つの家族が対比的に描かれるのですが、その象徴的な場面として、エリートサラリーマンで子どもの教育に厳しい反面、関わりは希薄な主人公と、生活ぶりはだらしないけれども、いつも子どもと一緒にいるもうひとりの父親とが子育てについて話すシーンがあります。主人公が、「子どもと一緒に過ごす時間が多ければ良いというものではない」というのに対して、もうひとりの父親は「それは違う。時間だよ、時間」と言います。子どもと遊び、時間を共有することが大事だというのです。

 私は、臨床心理士として多くの親子と関わる中で、一緒にいる時間の長い親子が必ずしも良い関係を築けているわけではないことを知っています。その点では、この主人公の言う通りだと思いますが、だからと言って、この人のような親はだめでしょう、と思う。でも、もうひとりの父親のいうように、ただ子どもと一緒に遊ぶ時間をたくさん持つのが良い親だとも思えない。映画の中でも、「親になること」の答えは出ないまま終わります。

 映画を見終わり、「親になること」ってどういうことだろう、と考えていたとき、ふと思い出した言葉があります。20年ほど前になるでしょうか。当時有名なコピーライターが言っていた「見つめることは愛」という言葉です。

 映画の終盤、主人公が、デジタルカメラに納められた写真を何気なく繰るシーンがあります。そこには、息子が撮った自分の姿が何枚もありました。それを見て、主人公である父親は、息子がいつも自分を見つめていたことを知るのです。そして、父親である自分は息子を見つめていなかったことを。

 子どもはいつも親を見つめています。そして、親から見つめ返されることを求めています。それが愛情だということをごく自然に学んでいるからです。子どものまなざしは、強く激しいので、親は息苦しくなり、この映画の主人公のように目をそらし、背を向けたくなるかもしれません。でも、だからこそ、そのまなざしをきちんと受け止め、見つめ返すことができなければ親にはなれないのではないか、と思ったのでした。
posted by MSCOスタッフ at 16:39| 本や映像から