2018年04月20日

クライアントという名称

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 カウンセラーとして仕事をしていると、様々な人がカウンセリングを受けにいらっしゃいます。みなさんは、私たちのことは「カウンセラー」だと思っていらっしゃいますが、意外とカウンセリングを受ける側であるご自身がなんと呼ばれるかは知らないのではないでしょうか。でも実はその呼ばれ方にこそカウンセリングの真髄があると思います。

 例えば、風邪をひいて病院へ行けば、診てくれる人は「先生」で、私たちは「患者」ですし、英会話を習いにいけば、教えてくれるのは「先生」で、私たちは「生徒」です。ここには、「先生」が、「患者」や「生徒」に自分の持っている力で治してくれたり、教えてくれたり、という「やってもらう」関係が生じています。

 カウンセリングを受ける人たちはカウンセラーのことを「先生」と呼ぶことが多いと思いますが、では受ける側が「患者」かといえばそうではないし、かといって「生徒」というわけでもありません。カウンセリングを受ける人は「クライアント」とよばれています。

 「クライアント(client)」には、「依頼人」とか「顧客・得意先」という意味があります。例えば、法律事務所で弁護士を雇うと、その依頼人は「クライアント」と呼ばれますし、広告代理店が広告を作るときの広告主は「クライアント」です。また、コンピュータでサーバーの提供する情報・機能を利用するユーザー側のコンピュータのことも「クライアント」と呼ぶようです。

 こうしてみると、「クライアント」という言葉は、ビジネス関係などで相手を「雇う」ときに生じる言葉で、そこには「雇う」側と「雇われる側」に対等の関係があるように思います。そのつながりは「契約」によって生じていて、契約が守られなければ関係を取りやめることができます。

 私は自分が初めてそのことを知った時に"ちょっと目からうろこ"で、且つ、すがすがしいような気持ちになりました。それまでなんとなくカウンセリングを受けるというと、受ける側が困っていて「カウンセラーに助けてもらう」ような感覚があるように感じていました。

 でもそうではないのです。自分が今の自分の力ではこれ以上進めないと思ったときに、「カウンセラーを雇って自分が先に進むためのプラスにする」ということなのです。そこには受ける側に主体性があります。この「主体性」こそがカウンセリングにおいて大事なことで、だからこその「クライアント」という名称なのだと思います。

 みなさんがカウンセリングを受ける際には、是非カウンセラーを主体的に活用して、ご自身の問題の解決を進めてください。
posted by MSCOスタッフ at 15:56| カウンセリングとは

2018年03月07日

カウンセリングを受けるかどうか迷う時に

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 私はある自治体で、回数に限定はあるものの住民の方が無料で受けられるカウンセリングに携わっています。地域で関わっている施設や機関から紹介されてきたという場合もありますし、カウンセリングがどういうものか試してみたいと思ってきたという方もいらっしゃいます。ご相談の内容にもよりますが、数回で解決の方向性を共有できるときもあれば、引き続き支援が必要と思われる方には、医療や相談機関につなげていくこともあります。

 皆さんのお話を聴いていて思うことは、抱えている悩みや苦しみは大きいにも関わらず、ご自身で抱えてしまいさらに苦しくなっておられる方が多いということです。これまで相談に行くことは考えたかどうかを伺うと、費用面を心配される方もいますが、「カウンセリングではどういうことをするのかよくわからない」「カウンセリングでは病気だとか、何か人と違っている人が受けるものだ」「カウンセラーから病気と決めつけられる、また一方的にアドバイスをされる」などのイメージがあり、抵抗があって受けてこなかったということも多いです。

 カウンセリングでは、今起きている負担や苦しみにつながっている状況因やその人の物事の捉え方や対人関係のパターンを探りながら対応を考えていきますが、その過程ではネガティブな面だけに焦点をあてるとは限りませんその方が元来持っている強みや健康的な面にも焦点をあてて、幅広く進めていきます。これまでストレスがかかった状況の時にその方なりにどう乗り越えてきたか、その過程もヒントにして進めていくこともあります。

 カウンセリングを体験すると、カウンセリングのやり方や進み方を見通すことができたり、カウンセリングへの疑問、心配や不安もカウンセラーと話し合えて解決できることもあります。

 臨床心理士の相談が無料で受けられるところや、勤めていらっしゃる方であれば、社内で産業保健スタッフの体験のカウンセリングを受けられたり、会社によっては会社負担で外部の相談機関のカウンセリングを受けられる制度もあったりします。そういったものをうまく利用していただき、お試しで受けていただくことは1つだと思います。そういったことでカウンセリングへの過剰な抵抗が少しずつ減っていくことに繋がればと思っています。
posted by MSCOスタッフ at 19:24| カウンセリングとは

2018年01月13日

公認心理師と臨床心理士の違い

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 今年、心理職初の国家資格「公認心理師」の初めての資格試験が予定されています。

 「臨床心理士」は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格で、これまで心理職の代表的な資格でした。そのため、「公認心理師」との違いが注目されています。

 「心理査定や、面接での査定」(アセスメント)を行うことや、「臨床心理学的な面接による援助」(カウンセリング)についてはどちらも同じように行ないます。また、「公認心理師」の行うとされている「関係者への面接」や「心の健康に関する教育・情報提供活動」なども「臨床心理士」が行う内容とほぼ同じです。

 違いは、「臨床心理士」には5年ごとの資格更新があり、そのため学会や研修会への参加、研究論文の公刊などを日々行うことが義務づけられています。「公認心理師」は、それらの日々の研修や研究を必要としない生涯資格です。

 この違いから考えられることは、資格を取った後の、実践のスキルアップや知識のアップデートに質的な違いが生じるかもしれないことです。

 また、医師との関係について、「公認心理師」は医師の「指示」を受けて行いますが、「臨床心理士」は医師と「連携」や「協力」を行う、となっており、独立性が考慮されています。

 今後は、医療機関や公的機関で心理職の業務を行う際には「公認心理師」の資格が必要になるかもしれないとも言われています。当オフィスのスタッフ(「臨床心理士」)は、それぞれ医療機関などでの業務も大切にしています。そこでの経験がオフィスでのカウンセリングに活用されることも少なくありません。

★以上のような現状をふまえて、南新宿カウンセリングオフィスでは、両資格を併せ持つことが利用くださる方のニーズにお応えすることにつながると考え、スタッフは  「公認心理師」の資格取得の準備をすすめています。

タグ:公認心理師
posted by MSCOスタッフ at 22:43| カウンセリングとは

2012年08月15日

カウンセラーの臨床センスについて

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 先日、小グループでのケース研究会で、クライアントの話から主題をピックアップして、そこから治療的な対話を作っていく仕方について「嗅覚」や「センス」などの言い方をしました。
 なんだかこの言い方だと「ちゃんとした技術ではなく、無責任な会話の成り行きやカンみたいに聞こえたかしら?」とちょっと後味がすっきりしないことがありました。
 それがきっかけになって、クライアントの主観的世界の形やパターンやキーを読み取る それを治療的に扱う対話を作る際のカウンセラーの臨床センスの事を考えました。このテーマは多面的で大きなテーマだと思いますが、ここはいちカウンセラーとして日常臨床の実感から考えてみたいと思います。
 
 もちろんカウンセラーの臨床センスは成り行きやカンではなく、クライアントのパーソナリティや主訴の成り立ちを見立ててからの判断なわけです。フォーミュレーションですね。文字通り「フォーム」=「形」をとる作業だと思います。一見すると別々の話題に散在している部分部分を、拾い集めて、並べてみたり継いでみたり重ねてみたりして、似てる部分や関連や連動を探していく。そうして、クライアントの主観的世界の「形」を描きだし、その中に埋まっているパターンやキーワードを探し出すことです。
 この作業をすすめるには、ある程度、感受性や臨床センスといわれるものを使うんだと思います。けどこのセンスは、プロの仕事として訓練されたセンスでなければ「使える」ということにはなりません。これが大切です。このカウンセラーの臨床センスは、心理臨床の実践のテキストで人気のあるナンシー・マックウリアムズの『精神分析的心理療法』にある訓練された主観と、ほぼ同様のことを指しているつもりでもあります。

 いきなりですが、内田樹の『街場の文体論』からの引用です。
ものごとの本質をおおづかみにとらえて、核心的なところをつかみだして、それを適切な言葉でぴしりと言い当てることができることを 「説明する力」「写生する能力」といっています。これはカウンセラーが“クライアントの主観的世界の形やパターンやキーを読み取る”際の臨床センスとそっくりだ!と思うのです。
 さらに、内田は どうしてそういうことができるのかと興味ある問いを出しています。そして、村上春樹・橋本治・三島由紀夫を例にして 焦点距離の調整が自在だから ものごとを眺めるときに、どれくらい自由に視線を移動できるかなんだと言っています。
 なるほど!です。クライアントの主訴、過去や現在、家族との歴史や人間関係などのごく具体的な情報から、パーソナリティ全体を捉えたり、内容ひとつひとつにぐっと近づいて眺めたり、部分と部分がつながる法則から主観的世界の法則を見て取ったりする。そういう作業は、確かに空間的な感覚を使っている気がします。クライアントを読み取る時の焦点距離を巨視的にしたり微視的にしたり、できるだけスムーズで自由な視線の移動は、一点二点に留まった視線では見てとれないような姿を見ることになるだろうし、自然と発見的なものになるのだと思うわけです。
 
 さてそうなると、視線の移動をより自由にするにはどんな手立てがあるんだろうか、と考えたくなります。これもまた大きなテーマですが、手の届くところから考えて行こうと思っています。
posted by MSCOスタッフ at 11:54| カウンセリングとは

2009年02月04日

『個人神話』を読むということ

個人神話

 ひとりひとり顔かたちが異なるように、心も悩み事もメンタルな症状も、個性的なものです。だから、カウンセリングはオーダーメイドなんです。
 例えば服のオーダーメイドなら、採寸するのは肩幅やら腕の長さ、ウエストなどなど。作り手は着心地や機能のニーズを把握し、職人の技術とプロの感性で具体化していく、といった感じでしょうか?
 カウンセリングが“採寸”するのは、心の機能はうまく動いているか、感じ方や考え方、感受性、人間関係は本来の個性とかみあっているのか、などなど… 今の自分でいることの居心地はどんな風か、といったことも大切です。

 さらに、私たちは誰もが、『個人神話』とも呼ばれている無意識のパターンを使って生きています。私たちが日ごろ自然にしている感じ方・考え方の傾向、感受性・人間関係でとりがちなキャラクターなどは、心の中に気付く前からある無意識のパターンを下地にして、それを自分流にアレンジして形作っていくようなのです。そういった意味で『神話』という言い方をするのです。

 というわけで、カウンセリングをより適切なオーダーメイドにするために、クライアント(カウンセリングを受ける方)の『個人神話』を抽出していくことは、カウンセラーの大切な取り組みと言えます。
 そして、カウンセリングとは、この『個人神話』が持っているさまざまな意味を、カウンセラーとクライアントの共同作業で深く読み説いて行くこと、とも言えるのです。
タグ:個人神話
posted by MSCOスタッフ at 15:57| カウンセリングとは

2008年11月28日

受け入れられるかどうかの不安から思うこと

受け入れられる

 カウンセリングをしていて、多くのケースで共通して感じることのひとつに、「受け入れられるかどうか」の不安にまつわることがあります。

 人は、他者に受け入れられることで「自分が居てもいいのだ、この世の中にスペースを与えられたのだ。」と感じる生き物なんだと思います。
 受け入れられることは、同化することではないのですが、同化すると受け入れられたような気がするのも確かです。

自分を唯一無二の個人のまま、他者に受け入れられ、自分もまた他者を受け入れ、というのは理屈で考えるほど簡単にはいかないですから。それだからなおさら、人は人と受け入れあうことを模索するのだと思います。

 こう書いていて、思ったのですが、お互いに受け入れたい・られたいのだったら、自分と他者の間に両方ともが受け入れられる場がつくれないものかしら?「どちらかがどちらかに同化するのでなく、離れてしまうのでもない、間をつなぐ場。」
 カウンセリングって、そういう場をどうやって作ろうかとか、考えめぐらすことかもしれないかもしれません。
posted by MSCOスタッフ at 19:59| カウンセリングとは

2008年11月26日

そもそも「カウンセリング」とは何でしょう

「カウンセリング」とは

 カウンセリング化粧品」という言葉があったり、「○○さんが落ち込んでたからカウンセリングしてあげちゃった」というような言い回しが使われることがありますね。一般に、「カウンセリング」という言葉は、「相手の話をていねいに聴く」という「姿勢そのもの」を指すように理解されているのではないでしょうか。また、その実態は漠然とはしているけれども、暗に、解決策の提示や助言が行われているであろうことがうかがえます。

 でも、ある事柄についての直接的な解決策を提示したり、助言をすることは、「ガイダンス=案内」や「コンサルテーション=相談」であって、「カウンセリング」ではありません。また、私たちカウンセラーはもちろん相手の話をていねいに聴きますけれども、それは、カウンセリングの目的を果たそうとすれば必然的にそうなるということであって、そうすること自体が目的なわけではありません。
 「カウンセリング」の目的とは個人のパーソナリティをベースに心の成長・成熟を援助し、受けた人が根本的な問題解決ができる力を引き出すことです。そして、それは個性とテーマにそって、オーダーメイドで計画・実施していくものなのです。


 「今、困っている問題をなんとかしたい」とカウンセリングを受けにきたAさんという方がいたとします。「この頃、やる気が持てなくて、仕事がはかどらず困っている。何かよい方法はないか」と言います。こういうとき、いくら「やる気が出る方法を教えてくれ」と言ったからといって、「では、気晴らしに旅行へ行ってみては」「まずは生活リズムを整えることです。早寝早起きを習慣づけましょう」などという解決策の提示や助言を行っても、Aさんは「そんなアドバイスはいらない」と言うでしょう。これを「カウンセリング」とは言いません。

 Aさんは、いろいろやってみたけれどもうまくいかないので、困ってカウンセリングを受けに来ているはずです。ですから、「直接的な解決策」ばかりをいくら考えたところで答えは見つからないでしょう。カウンセリングでは、まず、その問題の「成り立ち」を考えます。その問題の輪郭をたどるところからはじめるのです。

 たとえば、Aさんの家族や育ってきた環境、考え方や行動のクセ、人との関わり方、仕事のすすめ方、などなど、いろいろな出発点から道すじをたどっていくと、だんだん抱える問題の「成り立ち」が見えてきます。それは、「仕事にやる気が持てる方法を聞きにきたAさん」という薄紙のような二次元の状態から、「あんなことやこんなことや、いろいろな経験を積み上げて、今、ここにいるAさん」という奥行きのある三次元の姿として、カウンセラーの目の前にあらわれてくる過程でもあります。三次元のAさんのうしろ姿は、二次元では明るく前向きにしか見えなかった正面の姿とちがって、とても疲れたように見えるかもしれません。よく見ると、背中には、重そうな塊がくっついているかもしれません。そんなものをずっと背負っていては、疲れるでしょうし、仕事にやる気が出なくてあたりまえです。問題の「成り立ち」がだんだんわかってきました。

 ここではじめて、ではそれをどうするのか、という「根本的な問題解決法」を考えることができます。ただ、その塊が簡単にとれるような状態であれば話は早いですが、背中に食い込んでいるようであれば、それを無理にはがせば怪我をしてしまうことになります。その場合は、塊が背中にあることを認識しつつ、それを軽くする方法を考えていかなくてはなりません。カウンセラーは、Aさん自身ではありませんから、軽くする方法をいくつか思いつくことはできても、それをやってみることはできませんし、やってみて「痛い」とか「重い」と感じることができるのはAさんしかいません。

 カウンセリングとは、問題を抱えた方とカウンセラーが、その問題の「成り立ち」をていねいにたどり、それを改善するあるいはそれと上手に付き合っていくための「根本的な問題解決法」を一緒に探していく共同作業であるといえると思います。
posted by MSCOスタッフ at 01:06| カウンセリングとは

2008年11月08日

カウンセリングと似ている領域とのちがい

違い

 心のケアやストレス対策など、カウンセリングを取り入れることを考えているという方からよく訪ねられることに、
「心療内科にいくとお医者さんがカウンセリングしてくれるんでしょ?」
「カウンセリングって、悩み相談とは違うの?」
などがあります。

 そのつど、
「医師と話すのは診断のための問診や生活指導で、カウンセリングとは種類がちがうもの」とか、
「悩み相談は、その悩みへのアドバイス。カウンセリングは、悩みを解決する力を回復させるもの」などなどと、お話します。

ここでは、少しでもカウンセリングを役立てていただけるように、カウンセリングの使い方のようなものを書いていきたいと思っています。

 まず、よく比較される「ヒーリング」「心療内科/神経科/精神科」とのちがいを整理しました。

☆「カウンセリング」
行う人 = 臨床心理士・カウンセラー
何をするものか = 個人のパーソナリティをベースに心の成長・成熟を援助するもの。
個性とテーマにそって、オーダーメイドで計画・実施していくもの。

☆「ヒーリング」
行う人 = 各種セラピスト
何をするものか = ストレス解消、疲労回復
心身のリフレッシュ、心のマッサージ

☆「心療内科/神経科/精神科」
行う人 = 医師
何をするものか = 精神医学的・心身医学的な見地から症状・疾病を治療するもの。
主にお薬を使用した治療、生活指導。
posted by MSCOスタッフ at 22:50| カウンセリングとは

2008年10月22日

〜はじめに〜 『カウンセラーの使い方』

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 最近では、一般にカウンセリングが知られるようになり、それと同時にカウンセリングを受けることの敷居も低くなっているようです。また、カウンセラーも増えカウンセリングの技法や特性もさまざまなものが提供されています。

 そういった現状の中で、来談者の方が精神科医とカウンセラーを混同することや、カウンセラーに指導をもとめることなどがおこっています。来談する側にも、引き受ける側にも、来談者にとってどのような援助や治療、知識や技法が提供されることが適切なのかが、判断されないままカウンセリングが行われてしまいやすいのです。

 このような現状をふまえて、一般の方に向けて、カウンセリングを適切に活用するための考え方や知識・情報を提供したいと思います。
 また、カウンセリングの特性となっている“個人のパーソナリティを踏まえた援助”を組み立てるためのノウハウや考え方を、身近な言葉で解説したいと思います。それによって自分自身をよりよく理解し、新たな自分を発見することが可能となると考えます。
posted by MSCOスタッフ at 10:42| カウンセリングとは