2017年11月27日

ストレス対処におすすめ! 「好きなことリスト」

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 先日、勤め先のクリニックで、「ストレス対処法」のミニ講座を行いました。10名以下の少人数のグループでした。自分のストレスをどうにか対処したい!と思っている皆様にお集まりいただきました。ワークをいくつか行ったのですが、その中の1つについて、参加した方に好評だったワークがあったので、ご紹介いたします。

 ストレスがたまったときに、すぐ解決できない場合、気分転換を取り入れるための方法です。「自分の好きなこと、ちょっと気持ちがあがること、ほっとすることを、具体的に20個紙に書きだす」というワークです。これはもともと私が別の研修会で教えてもらったワークでした。

 気分転換といっても「旅行に行く」とか「映画を見る」とか比較的エネルギーを要することから、「仕事帰りにケーキを買って帰って紅茶をいれて食べる」、「家についたら、声を出して「あー疲れた!今日もよく頑張った」と自分に言ってあげる」などの比較的小さいエネルギーでできることまで様々あります。ポイントは、かなり具体的に書くというのと、小さい気分転換法であればあるほど すぐできるのでよいということです。最初は、参加者の皆様の様子があまりにも辛そうだったので、20個は到底うまらないだろうな・・・と思っていましたが、意外にも20個近く書いていた人たちがほとんどでした。

 書いたあと、お隣同士で、シェアしてもらいました。参加者の皆様は、それぞれ家庭、仕事などのストレスを沢山かかえて、最初は神妙な面持ちだったのですが、自分の好きなことを、相手に話し始めたとたんに、ぱっと笑顔になり、声も大きくなり、笑い声も聞こえ、部屋の空気も一気にやわらぎました。

 人は、自分の好きなこと、楽しいことをやっていると充足感を感じます。逆に嫌なこと、理不尽なことに出会うと、一気に視野が狭くなり、一生そこから抜け出せないような閉塞感をおぼえます。そして、自分に楽しみがあったことさえも忘れてしまいます。

 参加者の皆さんには、今回作った「好きなことリスト」を見えるところに貼っておきましょうと伝えました。そして、気持ちがふさぎ込んだり、追い詰められてしまったりしたときには、気分転換することを忘れてしまうので、そういうときこそ「好きなことリスト」を見て、1つでもできそうなところから実践してほしいと伝えました。

 後日、参加者の方から、「あのリスト、貼っています。それを見て、あっそうだ散歩だ!と外にでました。あれを使ってうつっぽい状態から持ち直しました。気づくと落ち込んでいたりするので、気分転換!と気をつけてやってみています」というお話を聞くことができました。

 ストレスは、すぐに解決できることは少ないですし、抱えたまま持ちこたえなければならないことも多いのが現実です。「好きなことリスト」は、嫌なこと、憂鬱なことに注意を集中させすぎず、ほどよく注意を分散し、かつ好きなことに触れる時間を増やすことがねらいなので、気分転換がしづらい方にはおすすめの方法です。
posted by MSCOスタッフ at 23:28| セルフメンタルケアのコツ

2017年05月14日

更年期とストレスマネジメント

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 5年ほど前から更年期症状に悩まされています。もっともつらいのはめまいと不眠、疲れやすさなのですが、その症状が強く出る日とまったく出ない日があるので、これは何かしらのストレスと関係しているのだろうと思い、セルフモニタリングを通してストレス因を探るのがこの数年間の習慣になっています。

 ストレスの原因は、一般的にはメンタル因を推測しがちですが、日々セルフモニタリングを続けていて感じるのはストレス因には意外と環境因も大きいということです。たとえば、冷房の効いた場所で長時間過ごすと体温の調節がうまくいかなくなり発熱するとか、長時間騒がしい環境に身を置いた後は肩から背中あたりの強張りや緊張が強くなり不安感が誘発されるとか。

 更年期症状というのは、どれも自律神経の乱れから起きる症状ですので、どういうことでその乱れが生じるのかという原因やパターンを知っておくことがとても大切だと感じています。前述のような環境因だけでなく、たとえばやることがたくさんあり過ぎてこなせるだろうかと不安になり、それがめまいの症状につながるなどというメンタル面からくる症状もありますので、いろいろな側面から症状とのつながりを見ていく必要があります。

 いずれにしても最も重要なことは、自分自身をよく観察して何が起きているのかを知ることです。自分の中で何が起きているのか、それを誘発したのは何なのかを知ることで、ある程度症状の出現を予防するための工夫はできるものだなというのが、このつらい更年期症状との付き合い方を日々試行錯誤する中での実感です。ごく単純なことですが、前述の症状を予防するためには、からだを冷やさないためにストールを持ち歩くとか、騒音対策のために耳栓を使うとか、そういう簡単な工夫が意外と効果的な場合もあるということです。

 ただ、ストレス因と症状のつながりがわかっても避けられないストレスもありますから、その場合はストレスコーピング(ストレス対処法)を使います。身体面でいえば、たとえば「からだをほぐすためにストレッチやヨガをする」とか、「リラックスできる音楽を聴きながら楽な姿勢でゆっくり座ってみる」とか、心理面では、つらいなと感じるときには、前もって企画しておいた「楽しみになるような予定の詳細をイメージしてみる」とか。

 つまり更年期をうまく乗り切るには、ストレス因を知って予防すること。そのストレスが避けられない場合には、ストレスが高まり過ぎたり持続しすぎないようにコントロールすること。そういったストレスマネジメントのスキルが欠かせません。自分の特性をよく探り、対処しましょう。
posted by MSCOスタッフ at 12:41| セルフメンタルケアのコツ

2017年02月13日

ストレスチェックをどう活用するか

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 ストレスチェックの制度が導入され1年を経過しました。カウンセリングの場でも「ストレスチェックを受けました」と結果を見せて下さるクライアントさんや、企業と提携してカウンセリングを請け負っている同僚の心理士が「ストレスチェックでストレスが高いと判定された社員の人とカウンセリングを行っている」という話を耳にすることも増えたように思います。

 会社によって、ストレスチェックのテストの結果をどのように企業として活用するのかは、とても難しい問題なのではないかと思います。それははかりしれないのでここでは、個人としてどう活用するのが望ましいかを考えてみたいと思います。

 実際ストレスチェックのおかげで、現在職場で困っていることが解決できたという話も聞きます。ある人は「企業と提携しているカウンセラーや職場の上司を通じて、人事も交えて配置転換などの建設的な問題解決がなされた」という話をされ、上手く活用できているなと感じます。

 ただ、会社の方向性・体制が時代とともに変化していく中での従業員のストレスや、個人個人の心の負担感はすぐ解決できるような問題ではないので長期的に取り組むことが必要になってくると考えます。企業内のカウンセラーや、ストレスチェックのフォローのために会社と一定期間提携している外部相談機関については、利用者も「何をしてくれるのだろう?」というような期待や不安で利用されるのだと思います。

 ストレスチェックにより相談を促された方は提携している外部相談機関のカウンセラーに、「自分の抱えているストレスは会社の上司に話をして問題解決できることなのか」、それとも「どうにもならないことなのだから個人のものの見方や考え方を変化させていった方がいいのか」などを試しに聞いてみるといいのではないかと思います。

 その他にも、「医療機関につながった方がいいのか」「法律家に相談した方がいいのか」などのすみわけもわかる場合もあるかもしれません。外部だからこそ、客観的に全体を見て何が最重要ポイントかがわかる場合も多々あります。

 このように最初は窓口的に活用するところから、「もう少し長期的に取り組んだ方が自分自身が楽になりそうだ」と感じられることがあるかもしれません。

 その場合、提携外部相談機関のカウンセラーでは回数や期間制限がある場合が多いので、長期的に相談できそうな場所を紹介してもらってもよいと思います。もしくは、費用は自己負担で同じカウンセラーで継続できる外部相談機関を探し、安定して相談できる人と場所を確保することも大事なのではないかと考えます。
posted by MSCOスタッフ at 21:04| セルフメンタルケアのコツ

2016年01月30日

全か無か思考

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 カウンセリングを受けに来られる方々の中によく見られる傾向に、「全か無か思考」があります。

 この「全か無か思考」とは、「all-or-nothing thinking」ともいいます。つまり、100%でなければ0と同じことだ、という極端な考え方のことです。「完璧主義」と言い換えてもよいかもしれません。

 たとえば「健康のため毎日仕事帰りに1駅前で電車を降りて家まで歩くのだ」と決めていたのに仕事が忙しくて疲れてしまい、つい億劫になって歩かなかった日が何日か続いたとします。そんなとき「また三日坊主になってしまった」「どうして自分はこんなに意志が弱いのだろう」と思ってがっかりしてしまい、「どうせ自分は何をやっても続かないのだ」とあきらめてしまう方は多いのではないでしょうか。

 でも、これから先ずっとできないかどうかはまだわかりません。仕事が一段落したら、気力体力が持ち直す可能性もありますし、そもそも「毎日歩く」という目標そのものを見直して「仕事が早く片付いた日だけ歩く」、「朝少し早く家を出て歩く」ことにするなど、本当は工夫次第でどのようにもできるはずです。

 本来の目標は「健康の維持、増進」なのですから、やり方を変えてもその目標が実現できればよいはずなのに、なぜ私たちは最初に決めた高い目標にこだわってしまうのでしょうか。それは、私たちの中に「万能感」というくせ者がいるからです。この「万能感」は、もともと私たちの中にある「何もかも思い通りになるはず」というファンタジーの残滓ではないかと思います。

 幼い頃、私たちの生きている世界はとても狭かったので、すべてが思い通りになるような錯覚を抱いていたのかもしれません。大人になるにつれて少しずつ、思い通りにならないこともあるとあきらめることを学んでいきますが、それでもどこかで「思い通りになるはず」という期待感を捨てきれずにいるのではないでしょうか。

 何かをやろうとするとき、私たちの中ではおそらく残滓であったはずの「万能感」がむくむくと大きくなり、「思い通りになるかもしれない」という期待感が生まれるのではないかと思います。周囲の状況が許さず、また自身のコンディションもありますから、そうそう自分が思ったようにはならないものですが、その思い通りにならないという事態が、思いのほか私たち自身を傷つけるようです。何度思い通りにならない状況を経験してもあきらめきれないほどに、人間にとってその欲求が強いものだからではないかと思います。

 そう考えると、私たちが最初に決めたやり方にこだわったり簡単にあきらめてしまうのは、自分自身が傷つかないようにするための無意識的な工夫といえるかもしれません。つまり「自分の思い通りにならないぐらいならあきらめた方がましだ」ということです。

でも、非現実的な欲求の実現にこだわるよりも現実的な目標を実現する方が、結果的にはずっと得るものが大きいのはいうまでもありません。「何をやってもうまくいかない」と思うときは、自分が「全か無か思考」にとらわれていないかどうか考えてみてはいかがでしょうか。
タグ:三日坊主
posted by MSCOスタッフ at 15:36| セルフメンタルケアのコツ

2015年10月03日

メンタルケアに取り入れたいアロマテラピー

アロマテラピー

 心の疲れは案外感じにくいものです。風邪のように、のどが痛い、鼻水が出る、という明らかな症状があるわけではありません。ただ、なんとなく気分が晴れない、何かすることが億劫、イライラしやすい、などの気分の変化や、食事をしてもおいしいと感じない、朝起きたとき、よく寝たなという感じがしない、などの、なんとなく不調・・・というときに、早めに気づいてケアすることが大事です。

 とにかくゆっくり休む、人に話をしてガス抜きをする、などのケアはいくつかありますが、その中で、アロマテラピーを使うこともお勧めです。カウンセリング場面では、考え方や、感情の整理などもお手伝いしますが、リラクゼーションの方法をお伝えすることも多いです。例えば、呼吸法、筋弛緩法の練習を一緒にしたり、音楽を使ったり、香りを使ってリラクゼーションを促す方法などです。

 もう少し説明すると、心が疲れているときは、活動するために必要な交感神経を働かせすぎていて、体を休ませる副交感神経が働く出番がないような状態が続いているときが多いので、いかに副交感神経を働かせるかが大切となります。その副交感神経を働かせやすくするのが精油の香りの力です。精油の種類によっては、交感神経が活性化されるものもあるので、副交感神経が活性化するような精油を選びましょう。

 副交感神経に作用する精油として主なものは、ラベンダー、マージョラム、カモミール、サンダルウッドなどです。これらの精油はリラックスを促します。また、グレープフルーツ、ベルガモット、オレンジなどの柑橘系の香りや、ローズ、ゼラニウムなどのフローラル系の香りは、リラックスの作用もありますが、気持ちがリフレッシュしたり、幸福感をもたらすような香りでもあるので、不安感をやわらげるのにも用いられます。人によって、香りの好みがあるので、自分が「いい香りだなぁ。リラックスできるなぁ」と感じる香りを選んでみてください。

 使い方としては、眠るときだったら、枕元に2〜3滴たらしてもよいですし、アロマポットやディフューザーを使って香りを広げることもできます。お風呂に1〜2滴たらして、芳香浴をするのもおすすめです。なんといっても、手軽に香りをとりいれることが大事なので、あまり難しく考えずに自分の好きな香りを選んでみて下さい。

 副交感神経を活性化するために、香りを用いることは役に立ちますが、それでも辛さや不調が続く場合は、医療機関やカウンセリング機関など、専門機関を利用して下さい。
posted by MSCOスタッフ at 01:06| セルフメンタルケアのコツ

2015年09月04日

自分用ストレスチェックリストとストレスコーピング

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 前回は、自分用ストレスチェックリストの作り方についてご説明をしました。今回は、引き続きAさんを例にとりそれをどう活用するかについてお伝えしたいと思います。

 【Aさん(35歳/男性/会社員)】のストレスチェックリスト。
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 このリストを日々ながめながら生活していると、Aさんは、同じストレス因があってもそれを強く感じる日と弱い日があることに気がつきました。よく考えてみると、曇天の日に苛立つことが多く、晴天の日には苛立つことが少なかったのです。そして、「胃痛」の起こる日の前はたいてい曇天の日が続いていること。つまり、梅雨の時期が最も「胃痛」のストレス反応が多いというパターンもわかりました。また、疲労感は、周囲の人やものごとが自身の思い通りにならないことへの苛立ちや不全感とつながっていることもわかってきました。
 なので「曇天が続く時」 「苛立ちや不全感」を感じる時には多めに休息を取るように気をつけてみることにしました。これがストレス対処法(ストレスコーピング)です。

 次にAさんは積極的にストレスを発散する方法も探して、ストレスコーピングリストも作ってみました。
 Aさんの趣味はエレベーターに乗ることです。特にM社のエレベーターは、動きがスムーズでドアの開閉が静かなのと、I社のエレベーターボタンを使用していることが多いためお気に入りです(I社のエレベーターボタンは文字が見やすく美しい)。そこで、Aさんは昼休みになると秩序の乱れた自身の職場を離れ、昼食を取りがてらM社のエレベーターが設置されている近くのオフィスビルに出かけて行きます。文字の美しいI社のエレベーターボタンを押し、M社のエレベーターのスムーズな動きに身をまかせていると苛立ちも少しずつ薄らいでいきます。また、自宅でI社のエレベーターボタンをながめながらK食品のポテトチップ(のりしお味)を食べている時間がAさんにとっては至福のときです。

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 ストレスコーピングは、できるだけ数が多い方が良いものです。たくさんあれば、ひとつ試してだめなら次、それがだめならまたその次を試すということもできます。もっと数を増やせないだろうか、と考えていたAさんは、ふと自分のリストは気分を発散するためのものしかないことに気づきました。
 ストレスコーピングにはAさんが実践しているような「気分発散型」のコーピングだけではなく、ストレス因を改善する方法を実践してみる「問題解決型」のコーピングもあります。そのふたつをバランスよく取り入れることがストレスマネジメントのポイントです。

 頑固で融通がきかず、自分の正しさにこだわるAさんですが、実はもともと内向的な性格で、自分の意見や気持ちを相手に伝えることが非常に苦手です。ですから、内心苛々することがあってもそれを相手に伝えることはめったにありません。「B氏はだらしがないが、柔軟性があるのでちょっと意見をしてみよう」と問題解決型コーピングの実践を思い立ったAさん。勇気を出して「もうすこし机上を整理した方が良いですよ。書類を探す手間が省けますから」と内心の苛立ちをできるだけ出さないようにしながらB氏に言ってみたところ、意外にもB氏は「それもそうだ」とAさんの意見を取り入れ、その日だけは普段よりも机上をきれいにしたのです。「そうか。言っても大丈夫なのか」と思ったAさんは、ストレスコーピングのリストの中に「机上を整理するように、さらりと相手に言ってみる」という項目を付け加えました。また、部長席下の謎の染み汚れについては、「見ない」というシンプルな問題解決型コーピングがうまくいくこともわかりました。

 さらに、Aさんは、B氏がAさんの意見を取り入れてくれたことに自身が大きな安心感を得たことについて「そうか。俺は内心B氏が怒ったらどうしようと思っていたのだな。相当気が小さいな」と思い、ストレス反応リストの中の「自分が間違っているのかもしれない」という不安は、自分が間違いを犯して怒られることへの不安感だったことにも気づくことができました。不安に気づくことでその不安感は軽減しました。

 いかがだったでしょうか。自分用ストレスチェックリストは意外と活用できそうだと思いませんか。

前回 自分用ストレスチェックリストを作ってみよう
posted by MSCOスタッフ at 18:00| セルフメンタルケアのコツ

2015年09月03日

自分用ストレスチェックリストを作ってみよう

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 今年(平成27年)の12月から「ストレスチェック制度」が導入されることになりました。社員50人以上の会社では、その実施が義務づけられることになります。メンタルヘルス不調を訴える労働者が増加している現況を鑑み、管理者が各職員のストレス状況を把握することによって精神疾患を未然に防止しようというのがその狙いだそうです。
 ストレスチェック制度の詳細については、厚生労働省が作成したポータルサイト(「こころの耳〜働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」)の中で見ることができ、サイト内にはストレスの度合いを自己診断するためのセルフチェックリストも付いています。私も試しにやってみたところ、仕事の質的なストレスの度合いが高いという診断結果でした。それは仕事柄、確かにそうだと思いました。
 しかし診断というのは、あくまで一般的な基準の中での自分の位置を確認するためのものですから、これだけでは個人のストレスの詳細まで理解、自覚することはできません。オフィスに来られる方々も「仕事がストレスで」とか「ストレス解消が難しい」ということはおっしゃるのですが、「仕事のどういうところにストレスを感じますか」とたずねてみると、案外わからなかったりするものです。

 自分がなんとなくストレスを感じていることはわかっても、どんな状況のどこにそれを感じているかということは意外と自覚しにくいものです。また、仕事の納期が迫っているときなど、実はかなり強いストレス状況下にあるにもかかわらず、「やるしかない!」と気持ちだけが前のめりになって心身の不調に気づかないこともよくあります。そのような状態を長く続けてしまうと、仕事の山場は乗り切ったはずなのに、何故か夜眠れない、食欲がない、気分が落ち込むなど、気がつけばうつ症状が出始めていた、ということにもなりかねません。そこで、「自分専用ストレスチェックリスト」を作ってみるというのはいかがでしょうか。

 皆さんは、自分がどんなことにストレスを感じやすく、またストレスが高まると心身にどのような変調が起きやすいか、ということがわかっていますか。
「段取り通りにものごとが進まない」「他者の言動・態度に過敏で少しでも相手の様子がいつもと違う」など人それぞれに強くストレスを感じる場面は違います。まずは、自分がストレスを感じやすい場面(ストレス因)のリストを作ります。次にストレスが高まったときの心身の変調(ストレス反応)を書き出します。
 頭痛や下痢などの体調不良などは自覚しやすいですし、身近な誰かのちょっとした言葉に傷つきやすくなるなど、心理的な変調も目印になります。そのリストを見ながら、自分自身の状態を確認することを習慣にすれば、どんな状況下でどのような不調に陥りやすいのかという自身のパターンにも気づきやすくなるでしょう。

 【Aさん(35歳/男性/会社員)】が、自分用ストレスチェックリストを作ることにしたと仮定してみましょう。
 秩序を重んじる几帳面な性格のAさん。職場内では、整理整頓の苦手な同僚の乱雑な机上をながめては、苛立つ毎日。また、コーヒーを入れるために給湯室に行くたびに、溜息をつきながらシンクの水滴を台ふきんで丁寧にふきとるのも日課です。台ふきんが汚れているときには、台ふきんを洗剤で洗うところからはじめることも。それ以外にも、通勤途上や買い物の最中など、ルールとマナーに厳しいAさんにとっては見過ごせない場面が山のようにあり、それらをやり過ごすことの出来ないAさんは、毎日へとへとです。
 Aさんは、自身のストレスチェックリストを作るにあたり、まず、ストレス因として「B氏の机上の書類の山」「給湯室のシンクの汚れ」などをあげました。そして、ストレス反応としては「苛立ち」や「怒り」「不安」など。これがストレス因だとわかっていることについてはすぐに特定できますが、「何かイライラするが原因がわからない」あるいは「何かありそうだが何かわからない」という場合には、もやっとした感じや嫌な感じなどをとりあえず書き出してみます。もしそのときに自分の中でつぶやいた言葉があればそれを書きとめておくのもよいかもしれません。
 
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 この自分用チェックリストを活用すれば、「こういった要因があるので今はストレスがある状態だ。」「ストレスが重なっているので休息や発散できる楽しみに耽る事が必要だ。」ということが客観的に意識できるようになります。
 そして、ストレスに具体的にどう対処するか(ストレスコーピング)については、次回あらためてお話をさせていただきたいと思います。

次回 自分用ストレスチェックリストとストレスコーピング
posted by MSCOスタッフ at 14:07| セルフメンタルケアのコツ

2014年11月02日

仕事に行き詰ったときに考えたいこと

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 仕事に行き詰まりを感じるときはありませんか。当たり前のように日々の仕事をこなして・・・とか、ただただ忙しさに追われて・・・など自分のやっていることがよくわからなくなることがあるかもしれません。そんなときに振り返っていただきたいのが、自分が「その仕事の何に魅力を感じてやっているのか?」ということです。一口で仕事と言っても、様々な仕事内容を複数こなしていることが多いかと思うのですが、どういうところに充実感を持てるか?その仕事の醍醐味は?という問いを自分に向けてみると、何かに気づくかもしれません。

 例えば、同じ「流通業・小売り業」という職業をしていても、売上をあげるために工夫をすることを仕事の面白み、と感じる人がいる一方で、お客様が欲しいものを買うことができ、笑顔で帰る姿を見ると、この仕事をしていてよかった・・・と思う人など、業種は同じでも、人によって仕事のどの部分にやりがいを感じるか、モチベーションがあがるか、というところは違ってきます。

 日常の業務をこなしていく中で、疲れやむなしさを感じたときは、自分が本来、充実感を持てる仕事がやれていないのかもしれません。接客をした方が充実感を得られやすいのに、販売に伴う発注業務で、事務作業が続いていたり・・・という状況が続くと、疲れや虚しさを感じやすくなります。または、本来の仕事というよりも、人間関係のごたごたに翻弄されていることもあるかもしれません。こういうときは、やりがいどころか仕事のモチベーションもあがらないでしょう。

 もちろん、仕事なので、好きなことばかりをするわけにもいかないのは現実なのですが、自分が充実感、満足感を得られるポイントを日頃から認識していると、意図せず色々な業務、事柄に巻き込まれたり、やらざるをえなかったりしても、軌道修正しやすくなり、自分が最も充実できる状況を、自分で作ってあげやすくなります。

これは、どんな仕事をしたらいいのか、何をしたらいいのか、などわからない人にとっても、これまでの人生で、どういうことをすると気分があがったか、充実感をもてたか、など振り返ってみると、おのずと自分に合う仕事が見えてくるかもしれません。

 このような作業は、自分自身を振り返って見つめるとわかってくることではありますが、自分のことは案外わかりづらいものなので、家族、友人、同僚や上司と話をしてみたり、カウンセリングなどを利用して、自分を振り返ったり、見つめ直したりすることも方法の1つです。
posted by MSCOスタッフ at 22:35| セルフメンタルケアのコツ

2013年05月20日

「べき思考」にとらわれない

べき思考

 カウンセリングの中でよく語られる内容のひとつに「自分はなんでも否定的に考えてしまう。もっと前向きに考えられるようになりたい」というものがあります。

 たとえば、誰かのちょっとした発言や態度に否定的なニュアンスを感じ取り、「私はあの人から嫌われているのではないか」と不安になったり、ちょっとした仕事上のミスを気に病んで「今回のことで上司に仕事のできない奴と思われたに違いない。これで今後の評価が決まったも同然だ」と思い込むなど、私たちは誰でも良くない未来を想像しがちなものですし、それを自分に信じ込ませることも得意です。

 明るい未来を想像したいのにできないことが、冒頭のような発言になるわけです。それがなぜできないのか?問題は「もっと前向きに考えられるようになりたい」という欲求や希望が、次第にかたちを変えてしまうことです。

 私たちは、「こうありたい」という自分の欲求を、いつの間にか「こうあるべき」に変化させてしまう傾向があります。おそらく「こうありたい」という気持ちは重心が上の方にあって、バランスが取りにくいように感じられるのではないでしょうか。「こうありたい、と思うのならそうなろうよ」というところから、「そうなるためにはそのための努力すべきだ」となり「こうあるべきだ」という簡潔で重心の低い言葉に落ち着くように思います。つまり、「前向きになりたい」がいつの間にか「前向きであるべき」に変化してしまうのです。

 「べき思考」という言葉をご存じでしょうか。「約束は守るべきだ」とか「常に冷静であるべきだ」など、「〜べきである」という考え方のことです。認知(行動)療法では、人間の認知の歪みのひとつに、この「べき思考」をあげています。‘認知の歪み’とは、現実離れしたものの見方、考え方だということです。

 確かに「こうあるべき」という事柄は世の中にたくさんありますが、何でも「こうあるべきだ」「こうでなくてはならない」という考え方に当てはめてしまうと息苦しくなってしまいます。最初は、「もっと楽な気持ちで過ごしたい」という素朴な欲求だったものが「常に前向きであるべきだ」という非現実的なルールに変換され、逆に自分を追い詰めることになっては、本末転倒です。

 私たちはみな、自分がより良くあることを願うものです。しかし、そのために自分自身に無理難題を押しつけてしまいがちです。みなさんはいかがですか。自分が「べき思考」にとらわれていないか、少し考えてみてはいかがでしょうか。
タグ:べき思考
posted by MSCOスタッフ at 10:25| セルフメンタルケアのコツ

2013年04月12日

日々の気分転換の工夫

ビールと風呂

 みなさんは、日々のストレスとうまく付き合うために、あれこれ気分転換をされていることと思います。ただ、ストレスがたまってくると、気分転換がしにくくなるときはありませんか。
 よく、ストレスに負けないように趣味を持つとよい、と聞きますが、趣味があまりない人が、趣味を持つというのは、案外大変なようです。そして、趣味にも色々種類があって、「旅行に行く」とか、「ゴルフに行く」、「楽器を弾く」など、時間やエネルギーを要するものもあります。そして、ストレスがたまってきた状態では、エネルギーを使う趣味はかえって疲れてしまうときもあります。そんなときは、どういう工夫が必要なのでしょう。

 ある研修会で、気分転換の方法を30個書き出してみる、というワークがありました。なるべく細かく書く、というのがコツでした。
 例えば、「仕事から帰ったら、冷えたビールを取り出す瞬間を楽しむ」とか、「好きな入浴剤をいれてお風呂に入るのが至福のひととき」などです。
このような方法だと、ちょっとした時間に楽しめて、日々の生活の中に取り入れやすいかもしれません。

 他にも、『「疲れた〜!」と声に出して言ってみる』とか、「自分に、『「お疲れ様、今日も頑張った」と言ってあげる』など、お金もかからず、しかも日々取り入れたら、少し元気になれそうな方法をあげている人もいました。一見、ささやかな気分転換の方法なのですが、日々意識的に取り入れてあげることで、ストレスがたまりすぎてしまうことの予防にもなるでしょう。

 また、自分だけの気分転換の方法を日頃から沢山見つけて書き出しておいて、自分の「気分転換リスト」を目につくところに貼っておくと、ストレスがたまりすぎて、気分転換の方法さえも思いつかなくなったときに、「リスト」を見ることで、取り入れることができます。そういうときこそ、ちょっとしたささやかな気分転換の方法が、エネルギーもそれほど使わないで効果的です。

 日々のストレスをなるべくためこまずに、こまめに気分転換していきたいものですね。
posted by MSCOスタッフ at 00:45| セルフメンタルケアのコツ

2013年02月25日

季節とつきあう

冬

 寒い時期が続いていますが、最近のマスコミでは、「冬季うつ病」などの記事が目につきます。「季節性のうつ」には日照時間や胎内時計などの影響が指摘されていますが、寒いと動きたくない、なんとなく冬はイメージとして気が滅入るとか、年末年始にかけての疲れ、人恋しさや寂しさを切に感じる機会が多いなど、心理的な要因と身体的/生活的要因が絡まり合っていることも多く、あらためて人間はむずかしいものだな、と思ったりもします。

 毎シーズン同様の身体症状が出るなどという「季節性」の要因が強い場合は、「言葉にもならないおっくうな感じ」というものが出たりするので、これはなかなか力技ではいかないように思います。一方でさほど季節に影響なんか受けない、というタイプの方も勿論いっらしゃるのですが、そうした方からすると、「季節性のうつ」というのはどうも腑に落ちなかったりするようです。

 ながく調子を崩している方でも、本人も周囲も「冬だからといって、こんな覇気がなくてはダメだ」といったようなことを感じる方が多いように思われます。お酒や行事などの刺激をきっかけに、自ら鼓舞してみて動ける方ももちろんいらっしゃるとは思いますが、そこは季節的/身体的な要因も絡んでいますから、動けた場合でも後で反動が出て余計つらくなったり、あるいは焦ってしまって「動けない自分」を自分で責め続けて、ますます悪循環に嵌ってしまう、という例は珍しくありません。

 カウンセリングなどでよくよく「嵌ってしまうパターン」を訊いてみると、常に元気で明るくいなければいけないようなイメージがあるということはとても多く、根底には周囲の期待のようなものに応えなくてはいけないといった不安、切迫感が込められていることも珍しくありません。認知行動療法でいう自動思考、「〜すべき思考」といったものですが、理屈でわかっていたとしても、やはり根強くいつのまにか影響を受けているものなのだと思います。

 そんな中でも、意識のベクトルが外向きから内向きに変わると「冬はやはり冬だから、今勝負を無理に挑まなくてもいいのかな」「つらいときはつらいといっていいのかな」といった言葉がぽつりとささやかれたりすることがあります。善し悪しの価値判断ではなく、まずはありのままの「自分の気持ち/状態」に目がいって認められると、「なんかほっとする」のでしょう。そんな中から、「春を楽しみに待つことにしょう」といった余裕が生まれてくると、「冬には冬の過ごし方や楽しさがあるな」といった言葉が出てきたりして、その人の視界、「可能性」というのもまた広がっていくように思われます。

 かくいう私も、子どもの頃から冬嫌いで暖かくなるのを指折り待ち望んでいるクチですが、休みをインドアで過ごすというのにも飽きてくるので、「まあ、天気の良い日ぐらい身近にある季節に沿ったものを探そう」なんぞと思って、気が向けば冬でも散歩したりもするようにしています。今住んでいる場所はロウバイや梅の名所に近いことを知人に教えてもらったので、今度の休日にはのんびり自転車で出かけてみようなどと考えていますが、こんなのんびり調子の方が、疲れの回復具合はよいようです。
タグ:冬季うつ病
posted by MSCOスタッフ at 10:48| セルフメンタルケアのコツ

2013年02月12日

「気にするな」と相手を励ましたくなったら

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  人から相談を受けたとき、あるいは相談を持ちかけたとき、「気にしすぎだよ」とか「そんなこと気にしなくても良いと思うよ」というアドバイスがよく使われますね。誰でも一度や二度は使ったことがあるのではないかと思います。

 自分が信頼している人からそう言われることで、気にしなくても良いのだという「お墨付き」をもらえたような気持ちになり、スーッと気が楽になることも確かにありますし、その言葉を使う側としては、それが話を切り上げるための口実であったり、あまりにも些細なことをくよくよ悩んでいる人を目の前にすると、そうとしか言葉のかけようのない場合もあるでしょう。漠然とした、非常に使い勝手の良い言葉ですが、そういう性質の言葉だけに使い方によっては人を傷つけてしまうことも間々あるように思います。

 私たちカウンセラーが日常的に関わる深い悩みや問題を抱えている人々にとって、気にしないでいられる状態というのは悩みがなくなった状態と同義です。誰でも、悩みを抱えているときには、あまり悩まずに生活していたときには気にならなかった日々の些末な事柄が、とても気になるようになるものです。つまり、悩みを抱えることは、気にしないでいる方法がわからなくなってしまうことなのです。ですから、彼らは「気にしないで」と言われると、自分の気にし過ぎを批判されているようで、かえってつらくなってしまうのです。

 ちょっとしたトラブルが気になってしまうとき、それはどういう状態なのでしょうか。川の流れにたとえるとわかりやすいかもしれません。  
 気にせず過ごせている状態は川の中をするすると流れている状態。悩みや問題を抱えている状態は、川の真ん中にある大きな石に乗り上げてしまった状態かもしれません。まずは石から降りる方法を考えなくては、元のようにするすると流れていくことができません。

 そんなふうに考えると、多くの人が日々を流れるように暮らしていることが不思議です。それは、多くの人はどうやったら石に乗り上げずに川の中を流れていけるか、あるいは、石に乗り上げたとしてもどうしたらケガをせずにうまく降りられるか、自分の身を守るコツを知っているからではないかと思います。ただ、ときにはそのコツが使えない場合が出てくるので悩みを抱えることになるのです。心理学では、そのように自分の身を守る術を「防衛」と呼びます。

 さて、では「気にするな」と言ってはいけないのか。そんなことは人の気持ちを理解してあげられたら、「気にするな」というアドバイスは、相手にとって大きな支えになるはずです。ないでしょう。些細なことを気にしないではいられないその人の気持ちを理解してあげられたら、「気にするな」というアドバイスは、相手にとって大きな支えになるはずです。
タグ:気にするな
posted by MSCOスタッフ at 15:29| セルフメンタルケアのコツ

2012年12月03日

復職のときのこころがまえ

オフィス

 うつがよくなって、復職をする際、それぞれご自分なりに、復職してからのイメージや、見通しなどを上司とともにたてたり、ご自分なりのヴィジョンを持たれることと思います。
 そして復職をして、ならし出勤などをしながら、少しずつ仕事に慣れていく方もいれば、会社の規定によっては、いきなり本出勤をされる方など様々です。復職されても病院やカウンセリングは定期的に継続されている方がほとんどです。むしろ、カウンセリングなどは、復職されてからは、実体験に基づいた題材で話を深めることができるのでより一層大切ともいえます。
 
 最近、復職についてよく感じることがあります。それは、復職後の「新しい自分」と、「病気で倒れる前の自分」とのギャップに、ご本人が苦しまれることが多いことです。これは、再発するか否かのターニングポイントのように思います。

 休職している間、病気になってしまった経緯を振り返ったり、考え方の見直しをしたり、再び倒れないように、それこそ人生観が変わるような大きな体験をしている方もいらっしゃるかと思います。しかし、職場のまわりの人は、「病気で倒れる前の自分」の記憶しかありません。ですから、現場に戻ると知らず知らずに以前の自分のあり方に戻ってしまったり、新しい自分でいようと思いながらも、周囲の人に合わせてもとの役割を演じてしまったり……となかなか「新しい自分」を職場の人たちに理解してもらうことに苦労があるようです。

 一方で再発せず、自分らしく仕事ができている人のやり方を見ていると、上司に「新しい自分」(残業はできないこと、負担がかかったなと思ったら、上司に相談することなど)を伝えていき、周囲にもことあるごとに伝えていくと自然と新しい自分を周囲も認識してくれるようになっているようです。

 以上のことは、当たり前のようなことでありつつも、実際行ってみると、なかなか大変なところがあるようです。なので「復職される際に、自分は、今新しい自分でいられているかな」「自分を見失っていないかな」などいつも自分自身に問いかけて修正していくこと、そしてまわりの人に助けを求める気持ちを忘れないでいることが再発防止につながるのではないかと思います。
posted by MSCOスタッフ at 23:20| セルフメンタルケアのコツ

2012年05月03日

「五月病」の予防

藤

 この時期になると、どこでも必ず「五月病」の話題になりますので、こちらでもちょっとふれておきたいと思います。

 新年度、学校や職場では大なり小なり環境の変化が起こってきますが、我々はそれに対応するためにこの『慣れるまでは大変だなあ』という緊張状態が持続することになります。ところが緊張状態というのはあくまで「緊急事態に対応する姿勢」ですから、どんな人でもそう長続するものではなく、だいたい3〜4週間が限度といわれています。
 つまり、緊張持続の限界が来たころにちょうどゴールデンウィークでゆるめる事ができるというわけですが、この際に自覚していた以上の疲れがどっとでてきやすく、場合によっては連休明けに回復が間に合わない場合がでてくる、ということがしばしば起こります。この状態回復の困難さがいわゆる「五月病」といってよいと思いますが、これはその人に取っての負担度合い(ストレッサー)と、その人の回復力、周囲のサポート資源の有無などによってかなり変わってきます。

 こうしたことを考えると、1つにはすぐできるセルフケアがやはり大事ということになります。こうしたことはカウンセリングでもよく話題になるので、私もクライエントさんに教えてもらったり自分でもいいかなあと思えるものは試してみるのですが、やはり王道としては「場所変化」「五感」「季節のもの」という3つの組み合わせを味わうことになりそうです。

 つらかったりすると『自分はダメだ』などネガティブな視点に反復固定されてしまいがちですから、「見える世界」を変えることはやはり有効です。むろん、身体疲労感とのバランスは大事なのですが、家でずっと同じにいるよりは、近所でもふだんとちがう所に行ける方がやはり気持ちは切り替えやすくなるようです。

 また、その中で視覚(心地よい風景など)、聴覚(鳥の声や音楽など)、嗅覚(花の香りなど)、触覚(陽のあたたかさや小川のひんやり感など)、味覚(季節の食材が最高です)という五感は直接身体に作用して、気分転換のよいきっかけになります。

 「季節のもの」というのはこれら「場所変化」+「五感」を考えたときに1つのきっかけになりやすく、時間の流れを感じるものなのか、個人的には4月に感じがちな焦りをすっとほぐしてもらえるような感覚があります。

 これらを味わうのは典型的には旅行ということになるのでしょうが、負担も考慮するとちょっと近所でこれらを気軽に味わうというのが、一番のおすすめです。秋冬にはかえってこの「季節感」がつらいという人もいるのですが、今の新緑の時期であれば問題もないと思いますので、改めて意識して試してみていただければと思います。

 また、こうした工夫だけではどうにも生きづまり感が続いてしまうという方の場合は、「こころの整理をしていく」ということが必要な可能性もあります。家族や友人などと話してもどうも改善しない、あるいはそうしたことがしにくいという状況で連休明けもつらい状況が続くということであれば、早めにカウンセリングや医療機関を活用していただけるとよいかもしれません。
posted by MSCOスタッフ at 00:12| セルフメンタルケアのコツ

2012年04月02日

異動・転勤などに伴うちょっとした工夫

ペア

 職場では、異動などの季節になりました。部署が変わったり、転勤があったり、上司が変わったり・・・この時期はなんとなく落ち着かない時期かもしれません。環境が変化するというのは、よい意味合いであっても、どういう形にせよ心に負担がかかるものです。よって、「自分は疲れているんだな」と認識して、意識的に休憩や休息をとることが大切になります。

 予想外の異動や、苦手なタイプの上司が異動してきてしまったとか、自分の予想通りにいかないことも多いかもしれません。そんなとき、「文句を言ったところで会社に従うしかない・・・。事態が変わるわけじゃないし」と心の中で思って、自分の辛い感情や、憂鬱な気分をしまいこむ人も多いかもしれません。このような方、ちょっと要注意です。

 確かに文句を言っても異動はなくならないし、苦手な上司も変わるわけではありません。でも、身近な人や、信頼できる人に話をして、聞いてもらうことで、自分の心の中にある辛い感情が少しだけ自分から離れてくれるのです。辛い感情が自分から少し離れることで、あらためて「仕方がない、やるしかないか」とよい意味で諦めることができたり、覚悟が決まることもあります。そして事態はかわらなくても、受け止めてくれる相手がいることで、少し孤独感がやわらぐことも少なくありません。

 異動や転勤は、自分の仕事内容や家庭などの状況にもかかわるので、あまりまわりの人と共有できる事柄ではないだけに、「自分だけがこんなことに・・・」と感じてしまうことも多く、利害関係のない第3者機関であるカウンセリングを利用するのも1つです。
この時期はカウンセリングの場面でも、異動や転勤の話題も多く、色々な気持ちを話して整理しながら、自分の中におとしどころを見つける作業が大切だったりします。
 
 ただでさえストレスが降りかかってくる毎日です。ちょっとした工夫でなるべくストレスをためないように心がけたいものですね。
posted by MSCOスタッフ at 16:54| セルフメンタルケアのコツ

2011年03月24日

こころのケア 〜リラクセーションのためのヒント〜

ムラサキシキブ

 とても現実に起こると思っていなかったような大変な震災を経験し、多くの方が心身ともに不安と緊張を抱えながら、日常を取り戻そうとなさっているのではないでしょうか。

 直接の被災体験、その後の様々な現実問題や喪失の体験、それらにともなう間接的なストレス。また、日々報道されるショッキングな現実にさらされる痛み、継続的な生活ストレス等、私たちのこころは実に多岐にわたるダメージを被ることが想定されます。
私たちはそれらのことに対処するために、『こころのケア』が必要になります。

 兵庫県こころのケアセンターがサイトで公開している【サイコロジカル・ファーストエイド 実施の手引き】をみると、心理専門職に限定しない、とても具体的なこころのケアの手引きがあります。
 主に被災地での支援者に向けた内容ですが、間接的な被災や被災後の回復へむけて、家族や友人がお互いにケアをしたり、セルフケアをしていくのに役立つ部分も多くあります。当事者へ配布するための【付録】ページもあります。

 ここでは、【付録】から、『リラクセーションのためのヒント』を抜粋し添付します。
 今回のような、心身が無意識に緊張状態にならざるを得ない日々が続く中では、意識的に心身を緩める時間が、日々の活動を安定させるためにも大切なことといえます。どうぞ、取り入れてみて下さい。
 また、このブログの『カウンセリング・キーワード』にある「ストローク」も、周囲の人と支え合うコミュニケーション作りに役立つように思います。

リラクセーションのためのヒント
兵庫県こころのケアセンター提供 【サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き付録E】より抜粋

サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き
兵庫県こころのケアセンター提供
posted by MSCOスタッフ at 00:29| セルフメンタルケアのコツ

2009年01月16日

ストレス料理法

料理

 まず、よくストレスを観察しましょう。食材を料理するときは、素材の特徴を知ることが大切ですよね。それと同じように、ストレスも、まずはストレスの元を知り自分に与えている影響を見定めることが必要になります。「自分を押しつぶすようなものか?」「自分に害を与えるものか?」です。

 次に、素材の特徴をふまえつつ料理をする人が実際に行える調理法で、手元にある器具や調味料で作れるものでなければ、まさに“絵に描いた餅”になってしまいます。つまり、そのストレスは「自分のいつものやり方で対処できそうか?」「どんなやり方なら片付きそうか?」です。

 さて、そうして選ぶストレス料理法は、大きく分けると2種類になります。
A ともかく問題が解決すれば、おのずとストレスは片付く」と考えている“問題解決タイプ”
B 「なにしろ、いやな感じや苦しいのをなんとかしないと、問題も解決させられない」といった“気持ちの安定タイプ”
 つまり、問題が先か?情動が先か?
“鶏と卵”の例えにもあるように、もちろん一概に言えることではありませんし、そこを考えても得るものは少ないでしょう。正解などありません。むしろ、ケースバイケースで使い分けていけるセンスが大切です。食材と調理法を、他の食材の特色とも考えあわせて、柔軟に組み合わせる。つまり、そのストレスの元にあった対処を選択していくセンスです。
このストレスの元になっている物事は、「変えられることか?変えられないことか?」また「自分が変わるのが現実的か?状況を変えることが適切か?」

 あれこれと考えたり行動したりしながら方法を選んでいるとき、私たちが自然ととっている態度。そこにもタイプがあります。
T「情報を集めて、よく考えてみる」「試行錯誤してみる」など、“積極的になんとかしようとする”態度
U「その状況や当事者から離れる」「考えないようにする」といったような“距離をとろうとする”態度
そして、対処する際にとる方法は、
@ 「考える」ことか?
A 「行動する」ことか?
 それぞれのAB、TU、@Aが組み合わされて、ストレス料理法のパターンができているようです。
 自分が日ごろ、無意識に選んでいるのは、どんな料理法でしょうか。それは、本当にその素材=ストレスの元、料理人=自分、に最適のものとなっていますか?さらに、そのレパートリーは十分でしょうか?

 ストレス対策を“料理法”などと例えてみましたが、こんな例えを使ってみることで日ごろの自分のストレス対策を違った視点からリニューアルすることのきっかけになれば、と思います。

参考文献: 神村栄一、海老原由香、佐藤健二、他「対処方略の三次元モデルの検討と新しい尺度(TAC-24)の作成」、『教育相談研究』1995年(Vol.33)、41〜47頁

初出:株式会社ピースマインド カウンセラーコラム

posted by MSCOスタッフ at 11:37| セルフメンタルケアのコツ