2011年07月01日

アタッチメント(Attachment)

母子

 アタッチメントとは、特定の人と人との間に形成される、時間や空間を超えて持続する心理的な結びつきと定義されます。それがどのように形成されるかは、ボールビィの研究で詳しく述べられています。乳児は、5〜7か月ごろになると、母親を見て笑いかけたり、母親が去ると泣いたりするようになります。これは母親との間に「アタッチメント」が形成されたと考えることができます。さらに知らない人が近づくを怖がって泣いたりするようになりますが、これは「人見知り」という、よく知られた現象です。
 人間の赤ちゃんは、人との接近や接触を求める、生物学的な傾向を持って誕生し、母親との一定量以上の相互作用を通して愛着が形成されるといわれています。ハーロウ(Harlow)はこの過程をアカゲザルを用いて実験的に確かめました。それによると、アタッチメントの形成には、ミルク(餌)よりも、スキンシップの方が大切であることがわかりました。こうした母子関係の微妙なあやについては、ウィニコット(Winnicott,D.W.)がきめ細かく述べています。こうした相互作用を通して、エリクソン(Erikson,E.H.)のいう「基本的信頼感」が形成され、これはサリヴァン(Sullivan,H.S.)のいう「安全感」などとも共通する概念です。
 最近では、乳児と保護者との観察を通しての研究や、実験的な場面を組んでの研究もされています。またその延長で大人のアタッチメントについても研究されてきています。
 乳児期に適切な母性的なかかわりを受けられなかったこと(例えば、Maternal deprivation:母性剥奪)が、その後に重要な影響を残すと考えられがちですが、単純に因果論的に考えてしまうことは、治療的に意味がないばかりでなく、有害でもあります。すぐれた芸術家の伝記を見てもわかるように、人間の心の成長は、とても複雑で個性的です。そうした心の在り方を尊重する姿勢が大切なのだろうと思います。
posted by MSCOスタッフ at 00:00| カウンセリング・キーワード