2008年11月26日

そもそも「カウンセリング」とは何でしょう

「カウンセリング」とは

 カウンセリング化粧品」という言葉があったり、「○○さんが落ち込んでたからカウンセリングしてあげちゃった」というような言い回しが使われることがありますね。一般に、「カウンセリング」という言葉は、「相手の話をていねいに聴く」という「姿勢そのもの」を指すように理解されているのではないでしょうか。また、その実態は漠然とはしているけれども、暗に、解決策の提示や助言が行われているであろうことがうかがえます。

 でも、ある事柄についての直接的な解決策を提示したり、助言をすることは、「ガイダンス=案内」や「コンサルテーション=相談」であって、「カウンセリング」ではありません。また、私たちカウンセラーはもちろん相手の話をていねいに聴きますけれども、それは、カウンセリングの目的を果たそうとすれば必然的にそうなるということであって、そうすること自体が目的なわけではありません。
 「カウンセリング」の目的とは個人のパーソナリティをベースに心の成長・成熟を援助し、受けた人が根本的な問題解決ができる力を引き出すことです。そして、それは個性とテーマにそって、オーダーメイドで計画・実施していくものなのです。


 「今、困っている問題をなんとかしたい」とカウンセリングを受けにきたAさんという方がいたとします。「この頃、やる気が持てなくて、仕事がはかどらず困っている。何かよい方法はないか」と言います。こういうとき、いくら「やる気が出る方法を教えてくれ」と言ったからといって、「では、気晴らしに旅行へ行ってみては」「まずは生活リズムを整えることです。早寝早起きを習慣づけましょう」などという解決策の提示や助言を行っても、Aさんは「そんなアドバイスはいらない」と言うでしょう。これを「カウンセリング」とは言いません。

 Aさんは、いろいろやってみたけれどもうまくいかないので、困ってカウンセリングを受けに来ているはずです。ですから、「直接的な解決策」ばかりをいくら考えたところで答えは見つからないでしょう。カウンセリングでは、まず、その問題の「成り立ち」を考えます。その問題の輪郭をたどるところからはじめるのです。

 たとえば、Aさんの家族や育ってきた環境、考え方や行動のクセ、人との関わり方、仕事のすすめ方、などなど、いろいろな出発点から道すじをたどっていくと、だんだん抱える問題の「成り立ち」が見えてきます。それは、「仕事にやる気が持てる方法を聞きにきたAさん」という薄紙のような二次元の状態から、「あんなことやこんなことや、いろいろな経験を積み上げて、今、ここにいるAさん」という奥行きのある三次元の姿として、カウンセラーの目の前にあらわれてくる過程でもあります。三次元のAさんのうしろ姿は、二次元では明るく前向きにしか見えなかった正面の姿とちがって、とても疲れたように見えるかもしれません。よく見ると、背中には、重そうな塊がくっついているかもしれません。そんなものをずっと背負っていては、疲れるでしょうし、仕事にやる気が出なくてあたりまえです。問題の「成り立ち」がだんだんわかってきました。

 ここではじめて、ではそれをどうするのか、という「根本的な問題解決法」を考えることができます。ただ、その塊が簡単にとれるような状態であれば話は早いですが、背中に食い込んでいるようであれば、それを無理にはがせば怪我をしてしまうことになります。その場合は、塊が背中にあることを認識しつつ、それを軽くする方法を考えていかなくてはなりません。カウンセラーは、Aさん自身ではありませんから、軽くする方法をいくつか思いつくことはできても、それをやってみることはできませんし、やってみて「痛い」とか「重い」と感じることができるのはAさんしかいません。

 カウンセリングとは、問題を抱えた方とカウンセラーが、その問題の「成り立ち」をていねいにたどり、それを改善するあるいはそれと上手に付き合っていくための「根本的な問題解決法」を一緒に探していく共同作業であるといえると思います。
posted by MSCOスタッフ at 01:06| カウンセリングとは