2019年04月01日

カウンセリングの期間ってどのぐらい?

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 はじめてカウンセリングを受けに来られた方からよく受ける質問です。医療機関では、治癒までにかかる期間を含めた治療の見通しを医師から伝えられることも多いですし、カウンセリングでメンタル不調が改善するのにどのぐらい時間がかかるものなのだろうかという疑問を持たれるのは当然のことと思います。こういう質問を受けた場合、私はまず「年単位の時間がかかると思ってください」とお答えすることにしています。
 実際には、直面している課題が明確であったりテーマを絞ってカウンセリングを行う場合など、数ヶ月もしくは1年未満で終了となることもあるのですが、今抱えている問題がある程度片付いてきたり、見通しがついてくるまでには2年ほどかかるのが一般的です。ただ、あくまで「ある程度片付いた状態になる」 「見通しがつく」というところまでに2年ぐらい、ということですから、多くの方が2年で終了しているかというとそういうことでもありません。

 標準的な進め方としては、まず初回のカウンセリングでは現在抱える困りごとをお聞きし、その後親子関係を含めご自身の経験してこられた身近な方々との人間関係や記憶に残る傷つき体験、葛藤的なエピソード等、ご自身の成り立ちについて詳しくうかがいます。過去の体験についてお聞きするのは、その中に現在につながる人間関係のパターンや問題が起きたときのその方なりの対処法パターンなどが隠れていることが多いからです。そうやって過去の体験を整理することでご自身の抱える課題やテーマがある程度見えてきますので、それを共有した上でどうやって進めていくかを話し合い、カウンセリングがはじまります。

 ただ、カウンセリングを船旅にたとえるなら、抱える課題が見えたとしても、それはまだ遠くの方にぼんやり灯台の明かりが見えている程度での出発になりますから、これからどのような航路を進むことになるのかは私たちカウンセラーにもはっきりとはわかりません。私たちは、航海士として、どんな船を選ぶのか、どの航路を進んでいくのか良さそうか、などなど経験上の知識を頼りに皆さんに提案をしていきますが、人の心は自然現象と同様コントロールがきかないこともありますから、突然嵐に巻き込まれることもあります。
 そんなときには、いったん近くの港に停泊することになるかもしれません。そういった意味で、カウンセリングの終了までどのぐらいの時間がかかるかは、はじまってみないとわからないものなのです。カウンセリングは、前提として「自分という自然相手」と思っていただくのが良いかもしれません。

 また、カウンセリングには年単位の時間が必要とお答えをするもうひとつの理由として、腰を据えて取り組んでいただきたいということもあります。
 皆さんの「とにかくつらいので早く楽になりたい」という切実な訴えをお聞きしながら、「霧が晴れるように、ある朝目が覚めたら悩みや困り事がすべて消え去っていたらどんなに良いだろう。そうなる特効薬があったら良いのに」と思うこともしばしばですが、そういうつらい状態は、様々な試行錯誤を経て長い時間をかけて作られてきたものですから、残念ながら一朝一夕に良くなることはありません。
 また、心の問題はケガや身体疾患とは違って目に見えるものではないので、悩みや問題を抱えているご自身でさえ、それがどれほどの大きさ、深さなのかがわかっていないことも多く、「職場の人間関係の影響で今はちょっと精神的に参っているだけ」と話されていた方の抱えている問題がよくよくお話をうかがっていくと実は非常に根が深いこともありますので、「自分の不調は軽いから数ヶ月で良くなるだろう」と軽く考えないでいただきたいというところもあります。つまり、焦らず気長に構えていただきたいのです。

 「カウンセリングは年単位の時間が必要」というお答えをすると、がっかりされる方もいらっしゃるのですが、実際はじめてみると、まだ課題の解決、改善にはほど遠い状態でも気持ちが楽になるものだということは最後にお伝えしておきたいと思います。
 それは、自分の中で何が起きていたのかがわかることで安心感が得られるようになるからです。「なるほどそうだったのか」という腑に落ちる経験を心理学では「カタルシス」と言いますが、「カタルシス」はカウンセリングの中ではしばしば起きるもので、おそらく長い航海を続けて行くためのモチベーションとなるものではないかと思います。
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posted by MSCOスタッフ at 00:36| カウンセリングとは