2018年10月08日

レジリエンス(Resilience)

balloons.jpg

 私たちは日々様々なストレスを受けながら過ごしています。時にはそれによって心身の調子が崩れます。同じストレスを体験した全員が心身の調子が崩れるわけではなく、そこには個人差があります。その方が抱える他の状況の要因もありますし、サポートしてくれる人がいるかどうかによっても異なります。またストレス状況をどう捉えるかによっても異なります。

 ストレスに対する対応の個人差を明らかにする一つの心理学の用語として「レジリエンス(resilience)」があります。アメリカ心理学会(APA)は「レジリエンスは逆境、心的外傷体験、悲惨な出来事、驚異などの重大なストレスにうまく適応する過程のことである。重大なストレスの具体例として、家族をはじめとする人間関係の問題、重大な健康問題、職業や経済的なストレスなどが挙げられる。つまりレジリエンスとは、困難な体験からの『回復』を意味する」と定義しています。

 日本語では「精神的回復力」「復元力」「心の弾力性」等と訳されます。私たちの心身状態を『風船』に例えると、外からの圧力(ストレッサー)によって形が歪み、それが様々なストレス反応としてでますが、その元に戻る力に作用するものとして使われています。

 私たちがよくお受けする質問の一つに「どうしたらストレスに強くなるか」があります。現在のストレス社会の中でうまく対応していくには・・当然の疑問です。「ストレスに強い」というイメージで、多くの方が抱いているものとして、ストレスを撥ねのける強い精神力(ストレスをストレスとは感じない)のイメージがあるようです。

 しかしカウンセリングの場では、刺激を受けて、『風船』に歪みが生じていることはそのまま認め、それがしなやかに元に戻っていく過程が大事だということをお伝えしています。撥ねのけるというイメージですと、『風船』は固いものになっていきますが、それだと刺激によっては割れてしまうかもしれません。柔らかめで弾力がある方が対処しやすくなります。

 そのしなやかに戻る過程を、考え方のクセが妨げることもあります。
 例えば、育児休暇中のAさん、3人の子育てが生活の中心となり、自分がしたい家事が思うようにできずいつもイライラし、本来はこうではないのにどうしてイライラするのか、母親としてどうなのかと自分を責めていました。
 そこで、Aさんとの話し合いの中で、まず何故イライラしているのかを振り返っていきました。その中で「家事はきちんとした仕事ではあるが、子どもとの時間は遊び要素があり仕事ではない」といった考え方があり、きちんと家事ができないことは自分の役割をこなしていないように感じていたことがわかりました。
 子どもとの時間も家事同様の仕事であり、きちんと役割を果たしているという捉え方をすることで、イライラしにくく本来のAさんに戻っていきました。

 ストレスを受けないように刺激を避けたり、強くなければならないという捉え方ではなく、刺激を受けて調子のバランスが崩れたとしてもどう元に戻してていくかの過程も大切に考えていけるとよいのではと思います。
(参照 石垣琢磨(2017)レジリエンス−予防と健康規制のために−臨床心理学17-5 603-606)
タグ:ストレス
posted by MSCOスタッフ at 23:22| カウンセリング・キーワード