2017年10月31日

日々の生活に「気づいて過ごす」(マインドフルネスストレス低減法体験記)

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 「マインドフルネスストレス低減法」(Mindfulness-based stress reduction: MBSR)の8週間プログラムに参加しました。
 MBSRは米国の生物学者で心理学者のジョン・カバットジンが1970年代に慢性疼痛の緩和のために開発した技法で、最近流行のマインドフルネス技法の元祖と言えるものです。マインドフルネスでは仏教の「念」を中心ととらえ、自分の自動的な行為や思考に気づきながら、今ここの状態に「ある」ことを大切にしています。うつ病の再発予防や不安・身体症状の軽減、日常生活の改善を意図しています。

 今回のプログラムは米国で資格を取ったファシリテーター2名の指導の下、8週間にわたりマインドフルネスの実践を毎日続けるというものです。30名ほどの参加者には臨床心理士や学校教員、医師、看護師など対人支援職だけでなく、疾患から回復途上にある当事者や家族、あるいは一般の会社員や主婦、学生などさまざまでした。
 全員が週1回3時間ほどのグループセッションを受けながら、45分程度の瞑想やヨガなどのマインドフルネス課題を日々の生活で継続するというものです。将来的にMBSRの指導者になるには、基礎要件のひとつとして同プログラムへの参加が義務とされています。


 8週間の前半では主として呼吸と身体の感覚に意識を向けるボディ・スキャン瞑想と、短い(10分〜20分程度)の瞑想の実践が課されます。私自身、瞑想やヨガの実践経験は多少ありましたが、連日の瞑想はなかなか容易ではありません。それでも連日(半ば大変でも)やっていると、徐々に自分の感覚への意識や気づきが増していくのがわかります。体調も大変よくなり、気分や感情の変化、果ては睡眠まで改善していきました。

 プログラムの後半になるとハタヨガの実践に加え、例えば手洗い、洗濯、入浴、歯磨き、あるいはいろいろな瞬間で、さまざまな側面に気づきながら、意識して毎日の日常生活を送るように心がけていきます。プログラム終了後もあらゆる面でマインドフルな生活を実践できるようにするためです。

 こうした瞑想実践では、どんなことが起こったかということは重要ではなく、むしろありのままを受け止め、それで大丈夫であることに気づくことに重きが置かれます。よく瞑想をしていると、時にあれこれと考えが生じたり、「明日の仕事はなんだっけ?」などと関係ない考えが出てきたり、などするものです。マインドフルネスではこうしたものが出てきたら、「おお、出てきたな」と思考に気づくことはしますが、出て来た思考の「相手」はしないで、そのまま実践を続けます。これこそがマインドフルなあり方であり、身につけるためには日々の実践を続けることが大切になります。
 でもMBSRは禅などの修行と違い、自分を追い込むものではありません。こうした実践ができない場合にはできないことを責めずに、むしろ「できない」という気持ちに自ら優しく接するように向き合うことが大切になります(これを「自らへの慈しみ(セルフ・コンパッション)」と呼びます)。

 やっていて面白いことに気づきました。それは仕事をしているときだけでなく、休日や旅行など一見すると楽しく過ごせていると思えるときこそ、瞑想やヨガなどの実践が大切だということです。自分で感じたり、考えたり、わかっていたりする(つもりの)ことって、実はすべてではないのですね。メンバーとともに迎えた8週間のフィナーレは本当に感動的でした。カバットジンは「マインドフルネスとは(他との)関係性である」と述べたそうですが、それを実感できる体験でした。


 もちろんマインドフルネスには限界もあります。例えば、現在うつ病の治療中という人は主治医にプログラム参加について事前に相談された方がいいでしょう。
 どのくらいの効果があるかは現在世界中で実証研究が続けられています。もし可能ならば新たな治療と生活の選択肢としてマインドフルネス実践を取り入れることも検討できるかもしれません。MBSRはいくつかの民間団体の主催で首都圏近郊でも開催されています。よろしければチェックしてみて下さい。
posted by MSCOスタッフ at 16:28| マインドフルネス