2017年08月10日

不安解消のエクササイズ

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 先日、システム・センタード・アプローチ研究会が主催するセミナーに参加しました。このセミナーは、イボンヌ・アガザリアンという、アメリカの心理療法士が創始したSCT(Systems-Centered Training/Therapy/Approach “http://www.systemscentered.com/”)の理論を学びながら、グループや個人のシステムについて理解し、自己理解と他者理解を深めることを目的としたグループ体験をするというものでした。

 SCTでは、気持ちがどのようにして生じたか、ということを重要視します。私たちは気持ちを言葉で語りますが、気持ちを表す言葉には「楽しい」「怒っている」など、感情をシンプルに表現するものと、「捨てられた」「無視された」など、その人の体験から生じた気持ちとそれにまつわるある種の考えや解釈の両方が合わさった複雑なものとがあります。
 実際の体験そのものから生み出される気持ちと、「捨てられた」とか「無視された」といった体験の解釈によって生み出される気持ちは異なっています。また、「捨てられた」とか「無視された」といった枠づけが生じると、その人は自動的に犠牲者の役割を取ることになります。  
 SCTでは、これらの枠づけ(防衛)をほどいて、ありのままの感覚的な体験からくる気持ちと、思考に誘発されて出てくる気持ちとの違いをわかるように探求し、まだ見ぬ新しいものを発見することを目指しています。

 このセミナーではいくつかのグループエクササイズを体験しました。なかでも「不安解消のエクササイズ」は不安な気持ちになった時に役に立つのではないかと思いました。
 このエクササイズでは、不安がどこから来ているのかを探し出し、思考に誘発されて出てくる気持ちと、私たちが本来注意を払うべき本物の体験との違いを見出そうとします。
 私たちが現実を確認しないまま、悲観的な予測を説明的に語る時、不安は高まってしまいます。また、楽観的な予測は、私たちが現実検討することから遠ざけてしまいます。SCTでは、不安は現実を間違って解釈しているシグナルだと考え、悲観的・楽観的予測は、私たちの探求心や一般常識を奪ってしまうと考えます。
 まず、「今、あなたを不安にしていることを言葉にしてみましょう」という問いかけがあり、自らの現実をチェックするように要求されます。
不安は、だいたい、次の3つの出所の中のどれか一つから湧いてきます。
 ・不安を喚起するような考え(悲観的な予測や、他者が考えていることに対する恐れ、など)
 ・あまりなじみのない身体感覚
 ・不確かさそのもの
 例えば、「友達に知れたら、嫌われるかもしれない」というのは、不安を喚起する思考です。不安にするのはその思考であって、現在の体験に対する防衛であり、今のありのままの体験ではないのです。
 エクササイズでは、「あなたは未来を100%予測できるのですか?」という介入をし、自分自身の思考が自分自身を苦しめる結果になっていることへの気づきを促し、さらに、どう感じるかを探求します。悲観的な予測がもたらす代償や、遠ざかっていた今のありのままの体験に目を向けていきます。

 好奇心を持ってまだ知らない新しいものに出会うことが、私たち人間のシステムが発達するための第一歩だ、とSCTは主張しています。私は、このセミナーに参加し、いつもの慣れ親しんだ考えやパターン、思い込みのために不安やあきらめの気持ちに支配され、前に進むチャンスを逃してしまうことがあると再認識しました。好奇心を持ち、未知のものとの出会いを楽しむことができたら、人生が豊かなものになるのではないかと思います。

 セミナーで学んだことをもとに、「依頼されたことができるかどうか不安だ」と感じている20代後半の会社員の架空ケースを別記事でご紹介します。

(参考文献:イヴォンヌ・M・アガザリアン著 鴨澤あかね訳 『システム・センタード・アプローチ −機能的サブグループで「今、ここで」を探求するSCTを学ぶ−』 創元社)
posted by MSCOスタッフ at 17:55| 心理エッセイ