2016年08月31日

架空ケース:「失敗が怖くて前向きになれない」

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<架空のケースを元に、実際に起こりがちな悩みとカウンセリングのアプローチを紹介しています>
 「失敗が怖くて前向きになれない」ことを悩み、軽いうつ症状もあるCさん(20代 会社員 男性)。

 仕事で、先輩として後輩のいい見本にならないといけないと思って、周りの目を気にしてしまう。そこまで求められていないのに、空回りしてしまって、周りの人に評価されていないと、自分にイライラしてしまう。といったことが続いているそうです。

自分の中の審査員
 詳しくお聞きすると、どうやら心の中で自分自身を審査する部分が強くなっているようです。“自分の中の審査員”は、両親からの影響を骨組みにして、さまざまな経験や自分なりの感じ方で形作られているものです。これは、誰もが大なり小なり持っているものですが、強くなりすぎるとバランスを崩しやすくなります。

   Cさんの場合は、「お兄ちゃんなんだからしっかりしなさい」といった母親からの日常の言葉かけから始まって徐々に身についた“お兄ちゃんらしさ”が、審査基準になっているようです。それ自体は自然なことなのですが、大人になった今、なぜバランスを崩すことになったのでしょう?

行動基準・評価基準がわからない
  社会人になったCさんは、憧れを感じる先輩に出会えて、その先輩に認めてもらおうと日々頑張るようになりました。しかし次第に焦り、イライラするようになっていきました。

 先輩のようになりたいとがんばっていると、“自分の中の審査員”は気づかないうちに『“お兄ちゃんらしさ”を発揮すること』からいつの間にか『“その先輩のようなお兄さん”でなければダメだ。』というように審査基準を変えてしまったのです。

 そうして「この自分のままではダメだ。」と思うようになり今の自分は価値のないもののように思えて、どうしたらいいのかすっかりわからなくなってしまったようでした。

自分らしい行動基準・評価基準の獲得
  自分の基準を見出すというのは、意外と難しいものです。自己中心的な理想を掲げても駄目ですし、周りから取り入れたものばかりでやっていこうとしても、芯のないハリボテになってしまいます。基準にする自分というのは、いったいどんな自分なのか。カウンセリングでは、自分らしい行動の基準や評価の基準を見い出し、取り戻していく作業を丁寧にしていきます。

   Cさんとのカウンセリングでは、まず自分に対して審査員の目でみていることに改めて気づかせ、ゆっくり考えを巡らせてもらいました。そこから、いつも審査員でなくても良いのではないか、自分をモニターすることは大事だけれど、そこに審査をいれなくても良いのではないかと考えてもらいました。

  次に、いつの間にか先輩のようにならなければいけないと思っていたのは、どこから来ているのかを振り返りました。社会人になって自分が身につけてきた“お兄ちゃんらしさ”が通用しなくなったと感じて、新たに自分のモデルとなる人を無意識に探す気持ちがあったことがわかってきました。

 それに気づくと、もう少し、自分の個性や経験を大切にしてもいいのではないかと感じるようになり、自分が持っているのに放り出してあるものを掘り起こして、活用できるものを探す作業になっていきました。その頃には、Cさんは自分を肯定できるようになっていて、前向きな気持ちをもてるように変わっていました。

posted by MSCOスタッフ at 23:17| 架空ケース